米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(1) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(1)

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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(3)(第1回) 
〜組み合わせ自明に関する教科書的事例〜

   Agrizap, Inc.,
   Plaintiff-Cross Appellant,
     v.
   Woodstream Corp.,
   Defendant-Appellant.


河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年5月28日


1.概要
 KSR最高裁判決においては、TSMテストを前提とする厳格ルールから、一般常識を含め発明が関連する技術分野において、公知の事項及び先行特許で言及されたあらゆる必要性または問題が組み合わせのための根拠となるフレキシブルアプローチへと自明性の判断が変更された。

 またKSR最高裁判決においては、異なる先行技術の組み合わせに関し、
「予期できない効果を奏し得ない限り、公知の方法に関連するありふれた要素の組み合わせは、自明である。」
と判示された。

 本事件では、ネズミ等の小動物を感電死させる駆除装置の自明性が問題となった。特許に係る駆除装置は、電気的なスイッチ(resistive switch)により作動する点で、機械的なスイッチにより作動する先行技術とは相違する。しかしながら、他の先行技術には電気的なスイッチが開示されていた。

 CAFCは、これらの先行技術文献を組み合わせることは当業者にとって自明であり、特許は無効であると判断した。CAFCは、本事件が公知の要素の組み合わせにより、自明と判断される教科書的事例(Textbook Case)であると判示した。(第2回につづく)