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憧れに基づいた突飛なプランはダメ

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海外の大きな住宅、オシャレな住宅をたくさん見ていると、どうしても日本での家づくりでも真似したくなるものです。

一例として、1階の大きなリビングの真ん中に階段がある洋風な家づくりを参考に日本で同様のプランを組み立てた件について紹介します。

その家は決して狭い家ではありませんでした。ダイニングは10畳、リビングも10畳、キッチンは4畳ですが、ドアで隔てられていないので、一続きの広い間取りとなります。加えて、共有スペースとなる廊下と玄関もドアで仕切られていませんので、高気密・高断熱かつ集中冷暖房で家の中はいつも一定の温度で快適、1階には6畳のベッドルームとシャワー室、トイレ、洗面所があってなかなかオシャレ。

二階は階段を上って左手に主寝室、右手に廊下が続き別の寝室、、書斎、そしてダイニングの上の吹き抜けを覗きこむことができます。ちなみに吹き抜けは6畳ぐらいあるのでかなり大空間な印象です。吹き抜けを横目にドアを隔てて洗面所、トイレ、風呂に繋がり、クローゼットを介して主寝室と繋がります。つまり、1階も2階も回廊型というわけですね。

このように述べると、「なかなか素敵じゃない?」と思われるかもしれません。自由に動き回れるようで、それでいて大吹き抜けとドアのない一体感。

ところがどうでしょう、実際に住んだ方の感想は一様で「暮らしにくい」と言います。

 

階段を家の中心に持ってくるのは現実的?

もし階段がオシャレで開放的な螺旋階段なら、それでもまだ良かったのかもしれませんが、この例に出てくる建物の場合、階段は一般的な壁で仕切られています。つまり、廊下に面した洗面所とリビングやキッチンは、階段を挟んで反対側。

階段を中心に、「玄関→廊下(寝室)→廊下(洗面所・トイレ・シャワー室)→ダイニング(キッチン)→リビング→廊下→玄関」という回廊型なんです。

階段が、家の中の各スペースの「仕切り」として認識されています。もちろん階段の下には収納も設けられていて、工夫はあるのですが、なんといっても、家に入ってどこに行くにも迷路のようにぐるぐると回らなければならない。言い換えれば、1階の中心に2畳分の障害物があるようなものなのです。

これがもし、異なるプランニングにしていれば、25畳のリビング・ダイニングという大きな大空間で使いやすく暮らすことが出来たはず。おそらく住宅プランナーならば決して実施しない、素人考えに基づく住まいなのです。

廊下も半間でいるので車椅子は通れません。随所に意匠的にオシャレな工夫はありますが、結局大きな家具が入ってしまったので人が動きづらい。お婆ちゃんが住んでみて「なんて住みにくい家だ」と嘆いたほどだそうです。

 

階段を中心にした家が現実的なケースとは

日本のような土地が狭い家の場合に階段を中心に位置させるプランはかなり難しいと言わざるを得ません。無理やり作ることはできますが、すぐに不便を感じるようになります。海外で経験した家を日本に適用するには、環境やライフスタイルが違い過ぎるのです。

もしも階段を中心にした家づくりをしたいなら、家の大きさが通常の倍ほどあって、階段を降りた眼前に20畳以上の空間が広がるようにできるのであればOKです。階段の後ろ側にも20畳ほどの別の部屋として使えるなら、狭さや使いづらさを感じない、快適な家になるかもしれません。

それでもそのような考え方をするくらいなら、階段を下りて40畳の大空間が広がっている方が良いと考えますけどね。

 

意匠性や憧れに基づいて無理くりなプランを立てると、最初の半年で後悔することになります。無難な道が必ずしも良いとは言えませんが、失敗する冒険には何千万円も投資するのはやめましょう。

 

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(東京都 / 建築プロデューサー)
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平均年収の方でも建てられる100年住宅を

高級輸入住宅の敏腕営業担当として『ツーバイフォーの鬼』と呼ばれる営業成績を残しつつも、必ずしも家が大切に残されないことや幸せに直結しないことに疑問を抱き、独立後、十数回にも及ぶ欧米住宅研究旅行を実施。国産無垢材ティンバーの大空間を実現。

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