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DNSレコードとDNS情報の違い

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やさしいIT用語解説

さて、インターネット (ワールドワイドウェブ、WWW) が一般社会にも登場した90年代から早20年が経ちました。一般事業者が使えるサーバサービスなども大分成熟してきましたので、独自ドメインを運営している Web サイトのレンタルサーバを変更される事も多いかと思います。

既に自社のドメインネーム  (comapnyname.co.jp など)  を使ってメールを使用したり Web サイトを運営されている状態でレンタルサーバを変更する場合は、「DNS の変更」や「ドメイン移管」といった作業が必要になります。

移転の手続きに際し大抵の場合は、移転先のレンタルサーバの手順に則って進めれば問題ないのですが、ドメインネーム関係、DNS 関係の手続きは、似たような用語で全く別の事を指す場合もあり、問題があった場合は知識が無いと混乱してしまう事があります。

という事でこの辺りを簡単にご紹介します。

DNS  (Domain Name System)  とは何か

インターネットの世界は、「IP アドレス」を元に互いに接続しています。「IP アドレス」とは、111.22.3.4 等の数字 (※1) で表される通し番号の事で、大雑把に言うと「通し番号の近い仲間は近くにいる」という発想で互いに手をつないでいく事により、全世界をカバーしています。

この通し番号が人間には覚えにくいので、名前を付けて通し番号と対応させるための索引システムが DNS です。

※1 次世代規格として、記号を使った形式のものもあります。

DNS の2重構造

この IP アドレスとドメインネームの対応付けを1つのシステムでやろうとすると、巨大な規模のシステムが必要になってしまいます。このため、現行のインターネットのシステムでは、「このドメインネームに関する具体的な IP アドレス情報を持っているのは誰か (※2) 」という情報と、「名前と IP アドレスの対応付け」の情報 (※3) を別々に管理しています。

※2 「誰か」というのは比喩表現で、「どのサーバか」を意味します。そのサーバを管理する事業者の事は意味していません。

※3 IP アドレスとの対応付けの他、そのドメインのメールサーバはどこかといった情報もここで管理しています。

用語上の注意点

前者の情報を「DNS 情報」または「ネームサーバ情報」と呼び、後者の事は「DNS レコード」「ゾーン情報」等と呼びますが、口頭や個別のメールなど、あまり文言を検討しない場面では「DNS 情報」が後者の意味でわれる場合もありますので注意が必要です。

名前と IP アドレスの対応付けを行うサーバホストの事、また、その役割 (機能) の事を「ネームサーバ」と呼びます。

ネームサーバ情報を管理するレジストリ

「このドメインネームに関する具体的な IP アドレス情報を持っているのは誰か」の情報、すなわち、ネームサーバ情報を管理しているのは「レジストリ」と呼ばれる役割を持った企業ないし組織です。「レジストリ」は、基本的にはドメインネームの末尾が異なるごとに 1 組織存在します。例えば、「.com」で終るドメインネームに関してネームサーバ情報を管理しているレジストリは ベリサイン社という米国の会社です。「.jp」で終るドメインネームは、株式会社日本レジストリサービス  (JPRS)  という日本の企業が管理しています。

レジストリの「管理」の内容

では、そのレジストリが「ネームサーバ情報を管理している」とは、一体どういう事なのでしょうか?

これは、誰でも検索できるデータベースをインターネット上に公開し、そこにネームサーバ情報を掲載しているという事です。このデータベースの事を、「whois (フーイズ) 」と呼びます。

whois にはネームサーバ情報の他、そのドメインネームの所有者が誰か、いつからそのドメインネームが使われているのか、といった情報も掲載されます。

ネームサーバの管理者

では下って、IP アドレスとホスト名 (例:www.example.co.jp) の対応付けを管理するネームサーバの方ですが、こちらも、具体的にはこの対応付け情報を誰でも検索できるようにインターネット上に公開する事が「ネームサーバの管理」です。

これを誰がやるかは色々なケースがありますが、レンタルサーバでドメインネームを申し込んだような場合は、そのレンタルサーバ会社がネームサーバの管理もしてくれています。大規模な組織のドメインネームの場合は、組織内のIT管理者が管理している事もあります。

ネームサーバ情報のレジストリへの届け出

ネームサーバの管理者 (例えばレンタルサーバ会社) がネームサーバを誰でも検索できるように公開した後には、それらのネームサーバがレジストリのデータベース (whois) に「ネームーサーバ情報」として掲載されるように届出をしなければなりませんね。そうしないと、せっかく IP アドレスとの対応付けを公開していたとしても、誰も見に来てくれないからです。

この届け出は、各レンタルサーバ会社やIT担当者から直接する事はできません。レジストリはのーぶるなお方で、執事を通さないとお目通りが叶わないのです (※4)。具体的には「レジストラ」 (※5) と呼ばれる役割を担った会社等がこの執事役を行っています。

※4 これは冗談で、実際の理由はセキュリティ上の問題や、届出内容のチェック実務を分散する役割を担っています。

※5 .jp ドメインの場合は、「レジストラ」の代わりに「指定事業者」という用語を使います。

DNS 運用における役割の関係図

レジストリごとにそれぞれ自分のレジストラを選定しており、通常、レジストラ業務を行う会社は複数のレジストリのレジストラとなっています。

レンタルサーバ会社などからはレジストラ経由でレジストリのネームサーバ情報を書き換える訳です (下図参照)。

情報の書き換え方法

一旦ネームサーバの届け出が済むと、私たち (一般ユーザ) とネームサーバ管理者 (レンタルサーバ会社など) の間のやり取りだけで、新しいウェブサイトの追加などができます。この場合は、ネームサーバで管理されている DNS レコードを書き換えている、という事になります。

レンタルサーバを変更するような場合はネームサーバが変わりますので、whois 上のネームサーバ情報を書き換える必要がありますが、また同時にレジストラ (.jp ドメインの場合は指定事業者) も切り替わる事が多いですので (※6)、まずはレジストラの変更 (※7)、その後ネームサーバ情報の変更、と2段階の手順を踏むのが一般的です。

※6 レジストラも多数ありますので、レンタルサーバと取引のあるレジストラに切り替わる訳です。

※7 レジストラの変更の事を「ドメインネームの移管」と呼びます。

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