「弱み」と「強み」、「長所」と「短所」は同じこと? No2 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

谷口 與市巳
京都ビスキャスオフィス 代表
京都府
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

「弱み」と「強み」、「長所」と「短所」は同じこと? No2

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 新規事業・事業拡大全般
商品企画支援 SWOT分析

前回は、「長所・短所」は特長を表したものであり、「SWOT分析」における「強み・弱み」に該当しないとお話ししました。同時に、「SWOT分析」に大きく影響するともお話ししました。今回はどの様に影響するのか具体的に考えてみます。

「SWOT分析」とは、平たく言うと『何か、いい儲け話はないかなぁ』と悩むことから始まり、『よし、これで行こう』と決断し実行するまでの過程を、「強み・弱み・脅威・機会」の要素毎に検討して、商品やサービスの内容(仕様)考えていく手法です。                                              4要素の内、「強み・弱み」分析を総称して、『内部環境分析』と言い、「脅威・機会」分析を総称して『外部環境分析』と言います。 

『内部環境分析』とは、新製品やサービスに対して、持っている技術・設備・ノウハウ等が、どの様に応用出来るか考え、逆に不足する場合はどの様に克服するか考える行為です。『外部環境分析』とは、市場動向・政治状況・他社動向等の予想される環境が、どの様な新製品やサービスを必要としているか考えると共に、それを阻害するような不安要因を想定して対応策を考える行為です。「長所・短所」はその過程の中で影響します。 

『長所は概ね外部環境に備える動機づけに繋がる』

立地場所、製造拠点、シェアー、ブランド等の長所は「脅威に対する備え」として動機になります。立地場所を往来する潜在的顧客数は、数値的目標値に対する説明する裏付けに繋がります。潜在的顧客数は置かれている環境ですから、自身単独では調整できませんので外部環境に分類します。製造拠点、シェアー、ブランド等も同様に「長所」は「脅威に対する備え」とし論理的に説明できる背景になります。一方、これらの「長所」は、市場情報を取り込みやすい環境下にありますから、情報収集で「ニーズ機会の創造」に繋がり、外部環境を充足する戦略策定が比較的容易に行えます。 

『短所は概ね内部環境を克服する動機づけに繋がる』

「長所・短所」は、評価する側面によって変化します。例えば、多くの顧客が見込める分(長所)、土地・建物の維持費は高い(短所)等です。「短所」に対し納得できる説明ができるのは「強み」です。例えば、往来する潜在的顧客層(年齢、性別、職業、所得層)等が、商品の特質と一致すれば、数値的目標を達成できる根拠に繋がります。「既存の強み」が無ければ「弱み」ですから、乗り越える方法「弱みの克服」が必要です。事実上、「短所」は経営上のマイナス要因ですから、目前のニーズに応える戦略よりも、将来的で高度、発展的な「ウォンツ機会の創造」に繋がる内部環境の充実が重要課題になると思います。 

「SWOT分析」における「機会」は具体策の骨子で、その延長線上に商品やサービスの具体的企画(計画)が存在します。  単一の商品やサービスの具体策を考える場合、「強み・弱み・脅威」は複数存在しますが、「機会」が複数になる事は原則有りません。複数件の「機会」が発見された場合は、各々異なった商品やサービスの企画に繋がりますから、別の案件として処理します。「強み・弱み・脅威」が、全ての企画案に共通する事は有り得ないからです。

後になりましたが、実はブランドと言うのは「強み」として分類するのが一般的です。商標や意匠などとして独占的使用権が法律上与えられます。ここでは、本当の「強み」と言うのは、『ブランド意識を植え付けている特質(強み)の上に成り立つ』と考えています。このような背景から「強み」ではなく、「自らが持つ長所」として取り扱いました。

前回に引き続き「SWOT分析」を基本に述べてきましたが、「弱みの克服」については触れておりません。

次回はこの「弱み」に触れて、このシリーズを完結したいと思います。