- 谷口 與市巳
- 京都ビスキャスオフィス 代表
- 京都府
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
今回はテーマの最終で「弱み」を取り上げます。相変わらず持論ですが、最初に『弱み・短所』について少し触れておきます。
「弱み」は、持っていないか、又は劣っているものですから、今は存在していません。事業にとって必要な「弱み」なら手に入れる必要が有ります。「短所」は、有益ではないが既に存在しています。事業にとって「短所」が障害になる場合は、対応策を考える必要が有ります。すなわち「弱みは克服する手段を考え、短所は備える手段を考える事」に繋がります。国等が、インフラ整備や工業団地、集積化、集合店舗、経済特区等を設ける施策を行いますが、障害となっている共通の短所に備える事業と言えます。
「弱み」は固有の内部事情ですから、自らの力で対応しなければなりません。「企画・開発」の過程において、「弱み」を避けて「強み」を生かすという方法も提唱されていますが、「弱みは避けるものでは無く、克服する要素」と言えます。基本的に、「弱み」を乗り越えない限り「機会」の具現化は見込めません。克服する方法はいくつか考えられますが、その選択は重要な経営判断で、これが最も重要です。
克服方法を大別すると、
1.代替できる『強み』の応用する方法。(改善・改良の範囲で可能な場合)
2.外部に依存する方法。(外部に開発を委託する、外部から調達する、M&A等)
3.自らの力で克服する方法。(新技術や新システムの構築)
等が有ります。この様に、必ずしも自らの力に頼る必要は有りません。難易度・経済性・時間等によって使い分けや、産学共同を用いる等の環境もあります。
特に、自らの力で克服する場合は、『克服する弱みが、企画する商品やサービスにおける重要度が高い』、『克服する弱みは将来的に発展性が見込める』、『商品プロセスの上流に位置する(基本要素)』等、有効性の見極めが重要です。費用と共に人的資源が必要でリスクは大きくなりますが、リターンも大きくなります。人的資源が不足する場合、外部開発委託を併用し、人材の育成と同時進行する方法も良いでしょう。
自社で克服する場合は『長期的な経営戦略』が重要と述べましたが、それには大きな理由が有ります。「弱み」とは『劣っている自社の経営資源』、『有用であるが、持ち合わせていない経営資源』で有り、『克服する事により新しい経営資源』として「強み」に変化し、『新たな経営資源の醸成』です。事業に対する広がりや深み等の可能性を拡大すると共に、戦略外となった経営資産は積極的に売却等を考えるべきです。
本来の使い方では有りませんが、年に1度位は「SWOT分析表」を作成し、経営資源の棚卸をするのも良いでしょう。「成功確率を最大化する手順」として上手く使ってください。以上で今回のシリーズ完結と致します。ありがとうございました。
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