飯田  裕(歯科医師/医学博士)- コラム「<医学博士が解説>「歯科用CT完備」ならインプラントはホントに安全?」 - 専門家プロファイル

飯田  裕
患者さんの性格や体質に合った「オーダーメイド治療」を提供

飯田  裕

イイダ ユタカ
( 茨城県 / 歯科医師/医学博士 )
つくばオーラルケアクリニック 開設管理者/院長
Q&A回答への評価:
4.8/125件
お客様の声: 3件
サービス:2件
Q&A:235件
コラム:60件
写真:2件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

<医学博士が解説>「歯科用CT完備」ならインプラントはホントに安全?

- good

2014-02-24 12:42

 

1.レントゲン写真と比べて歯科用CTの優れた点は・・・

 

 80年代に医療現場にX線CTが普及し始めて、特に脳梗塞や脳出血などの頭の診断に威力を発揮し、今ではなくてはならない画像検査機器となりました。

 

 それからだいぶ遅れますが、2000年頃になると歯科の領域でも骨や歯など硬い組織を診るのに特化した歯科専用のコーンビームCTが登場してきました。歯科用CT自体が非常に高価な検査機器であること、医科用のヘリカルCTに比べると、放射線の被ばく量は少ないが、用途が限られてしまう欠点もあり、割りと普及はゆっくり進んでいる感じです。

 

近頃はインプラント治療を安全に行うために必要なアイテムとして盛んに宣伝と啓蒙活動が行われていることもあって、歯科用CTは患者さんからも注目を浴びています。

 

 

 

 歯科用CTの優れた点を説明する際に、レントゲンと比較する形でよく言われるのは、レントゲン写真では像が歪んでしまうことがあること、写真は2次元的なので病変や、歯や骨の奥行きが分からないこと、「立体的にどうなっているのか?」が把握しにくいことなどが欠点として挙げられます。 

 

歯科のレントゲンは本当に安全?Ⅹ線写真と被爆について http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-85701/

 

 それでも顎周りや歯の周囲のレントゲン写真だけでも、撮影の方法や写真の読み方によってはかなりの情報が得られますが、歯科用CTを導入した歯科医院としては、最新設備を宣伝し強調することで、他の歯科医院との差別化を図りたい意図があるのかもしれません。

 

 

2.歯科用CTだって無害ではありません

 

 誤解がない様に先に申し上げておきますが、私はCT反対派ではありません(笑)。現在のCTの性能は凄いものです。新しいCTで撮影条件がバッチリ決まっていれば、直径3~4ミリの病変も確認できます。

 

 元々私は医科大学の付属病院の口腔外科に所属し、研修医時代に放射線診断部でひたすら毎日CTを読む研修を受けていました。口腔外科診療では顔面の骨折や腫瘍など病変をCTで診査し、実際に手術の際に(CTで写っていたそこがどうなっているか?)開けて内部を確認する…こんなことを日々繰り返していました。「CTで見て、実物も見る」この繰り返しがCTを読み解く力になり、経験値と診断精度が向上する…今では貴重な経験をさせていただいたと思っております。ですから、「CTが正しく活用されれば確実な術前診断ができる」ことはよく分かっているつもりです。

 

インプラント治療は痛いのか?痛みの程度は? http://profile.ne.jp/w/c-118895/

 

 但し、インプラント手術を予定する全症例にルーティーンにCT撮影を行うことは疑問です。なぜなら、

 

 

1)レントゲン写真と比較してCTは放射線の被曝線量(被ばく線量)が大きいこと、

2)レントゲン写真だけで十分な事前情報が得られるケースもあること、

3)事故防止の観点からは、解剖学的に鼻に近い場所ではない場合や、神経や動脈(血管)などがない場所では、撮影の必要性がないこと、

 

などを考えると、放射線被爆のリスクとCT撮影のメリットを天秤にかけた際に、避けられる被曝は避けるべきですし、必ずしもCTの撮影は必要というわけではありません

 

 

3.インプラント手術の技術とCT検査は別物

 

 また、これは本質的な話になってしまいますが、事前にCTを撮影し、インプラントを埋め込む位置、深さ、角度などについてミリ単位で精密に検討を行って予定を立てても、その予定通りの位置や角度に寸部の狂いなく埋め込む手術技術がなければ意味がありません。

 

 インプラント治療の成否は、患者さんの健康状態や協力度、器材などの事前準備、術者の技量と経験などによって左右されます。手術中に重要なのは技術的な部分と経験であり、術前のCT撮影はあくまでも下調べの一部、術後の撮影は確認のためのものにすぎません。

 したがって、「歯科用CTはインプラント手術の安全性を担保するものではない」ということです。

 

安全・確実なインプラント治療を受けるために http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-53633/

 

 よく歯科医院の宣伝や専門家のコメントとして、「歯科用CTがあるから安全」とか「CTを撮ってないからトラブルが起きた」といった一般の方々、患者さんに誤解をまねくような説明が記載されていますが、歯科用CTは道具にすぎず、インプラント手術を為すのは人であることを忘れてはなりません。インプラントの安全性のためには他にももっと考えることがあるのではないかと思いますが、皆さんはどう思われますか?

 

茨城のインプラント専門歯科(歯科・口腔外科)/つくばオーラルケアクリニック

公式HP http://www.tsukuba-occ.com/hp/
fb http://www.facebook.com/tsukuba.occ

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 専門医によるインプラント治療カウンセリング

あなたに最適なインプラント治療のプランを専門医がご提案!

料金
5,000円

当院では、あなたに最適な治療プランを専門医がご提案する「インプラントカウンセリング(要予約・50分まで)」をお受けしております。インプラント治療をご検討中の方や、他院でインプラント治療をご検討されている方で、主治医以外の意見を聞いてみたい方など、「セカンドオピニオン」としてのご相談も可能です。

専門医によるインプラント治療カウンセリング
プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真