飯田 裕
イイダ ユタカグループ
<医学博士が教える舌がんの知識>舌がんを簡単に見分ける方法とは?
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1.TPP関連ニュースで見かけたあの人も舌がんに…
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が最終調整の大事な局面を迎えていた頃、それまで交渉を担ってきた甘利経済再生担当大臣(※当時)が舌がんになり、翌週から入院治療を受けるために、シンガポールでの閣僚会合を欠席したニュースが2013年当時報道され、
「数週間前に舌に小さな潰瘍が見つかり、舌がんの可能性があるとして精密検査受けたところ、早期の舌がんと診断された」と伝えられたのです。
国益を守るための厳しい交渉に臨まれていたせいでしょうか・・・日本の将来を大きく左右しかねない問題だけに、甘利さんのストレスも相当なものだったと思います。その後の交渉の行く末もさることながら、幸いにも甘利さんの場合は早期がんだったのこと、しっかり療養していただき、慎重に経過観察されることを切に願うばかりです。
歯根嚢胞(歯根のう胞)をご存知ですか? http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-114984/
2.舌がんは他の部位のがんよりも見つけやすい
さて、がん(癌)の種類にもいろいろありますが、上皮系のがん=癌腫と呼ばれる50代以降の方がよく罹患するがんでは、一般的には早期発見、早期治療が予後の決め手になります。
口腔がん(口の中にできるがん)では、できる場所によって口唇(こうしん)がん、舌がん、口底(こうてい)がん、歯肉(しにく)がんなどに区別されますが、 中でも舌がんの発生頻度がもっとも高く、口腔がんの約40%を占めるとされています。
舌がんの場合、胃がんや大腸がんなどと異なり、直接目で見て確認できる場所にありますから、その特徴を理解していれば「見つけやすいがん」であると言えます。見た目の特徴としては、一言でいえばひどく爛れていたり、ぐちゃぐちゃして「汚い感じ」です。専門的にはがんの表面の性状で
白斑(はくはん)型、
肉芽(にくげ)型、
腫瘤(しゅりゅう)型、
びらん型、
潰瘍(かいよう)型
、
などに分けられています。写真は私が治療を担当した舌がんの患者さんのもので、いずれもサイズが1㎝強の比較的小さめのびらん型の舌がんです。触った感じは中が硬く、コリコリとしたしこりがあり、ときに表面から出血や痛みを伴います。
病期が進むにつれて引きつるような感じで、舌を動かしにくくなり、発音や嚥下(飲み込み)が障害されるほか、リンパ流に沿って首周りのリンパ節に転移し、リンパ腺が腫れたりします。
さらに進行すると、肺、骨、肝臓など他の臓器に転移し、全身的な症状をおこすようになります。
ご婦人に多い口の中の病気”口腔扁平苔癬”をご存知ですか? http://profile.ne.jp/w/c-59238/
3.舌がんの早期発見、早期治療が予後を良好に
治療方針については、がんのできている場所や進行度、がん細胞の性格などを総合的に判断して、手術、放射線治療、抗がん剤などの化学療法を、単独あるいは組み合わせて治療します。 治癒率は施設によって多少異なりますが、初期であれば5年生存率=約80%です。写真の患者さんもあれから間もなく10年になりますが、お二方とも再発や転移もなく元気に過ごされています。以前にも専門家プロファイルのコラム、
「口腔がん検診をご存知ですか?」 http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-52834/
の中で書かせていただきましが、初期のものほど転移のリスクは少なく治療成績も良好ですので、早期に受診することが大切です。歯科医院を受診した際に偶然見つかることもありますが、なかなか治らない口内炎など気になる症状がある方は早めに耳鼻咽喉科や口腔外科を受診して下さい。
※※歯科医師、歯科衛生士の方々へ※※
ご自分が担当されている患者さんで口腔粘膜疾患や口腔がんを疑う症状、所見があるものの、
「診断に自信が持てない…」、
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などのご不安、疑問がある先生方、衛生士さんはお気軽にメールもしくはfacebookからご連絡下さい。
状況によっては出張診療、診断やご紹介のお手伝いをさせていただきます。
茨城県つくば・土浦の口腔外科 口内炎の治療なら つくばオーラルケアクリニック
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