対象:住宅設備
回答:1件
上村 美智夫
建築家
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屋根からの暑さ対策の基本について
換気棟(棟換気)と屋根裏排熱ファンについてですが、この2つは小屋裏の換気量を増やすという点では、ほぼ同じ目的の手法といえます。
棟換気は、屋根の最上部に、小屋裏の熱気を排出させる開口を設ける必要があり、新築後の後から取り付ける為には、その部分を壊す必要があり、費用はその分余計にかかり、大変になる場合がほとんどであろうと思われます。
屋根の最上部から熱気を排出するので、自然の理にかなった合理的な手法で効果はある程度期待できます。
屋根裏排熱ファンは小屋裏換気の能力をさらに増加させるという意味では、効果がある方向に、プラスに作用するものとは考えられますが、ファンの換気風量等の能力の決定に、定まった基準値等がありませんので、どの程度の能力の機種にしたら十分なのかがはっきりしません。よって、多少は効果があるだろう程度に考えた方が良いのではないかと思います。
また、このことは既にある換気口を大きくするということと、ほぼ同じ意味となります。自然換気口の場合は、風力などを利用するので、電力を使いませんし、故障等もありません。
次に、屋根からの暑さ対策の基本として、先の「換気棟か屋根裏排熱ファン」より以前に、下記の1、2が最も効果的で最優先事項となります。従って、1、2の順で現状の確認や実施が前提となります。
1、小屋裏換気口が2カ所以上あること。
「屋根は東西に長い切り妻型」とのことですので、東西面の両妻壁の上部にそれぞれ設けられているケースが多いと思います。小屋裏換気口の面積の合計は、2階天井面積の1/300以上必要ですので、約90m2×1/300=0.3m2以上となります。例えば、幅30cm×高さ50cm以上のものが2カ所となります。
もしも小屋裏換気口が無ければ、まずは最初にこれを取り付ける必要があります。
2、2階天井裏面が十分に断熱されていること。
厚さ100~200mm程度の断熱材が2階天井面全体に切れ目なく設置されていること。この天井断熱は夏場の暑さ対策だけでなく、冬場の暖房効果も高まり省エネに貢献します。
夏場2階の部屋が暑いのは、小屋裏の熱気が2階の天井面を暑くするためです。したがって、2階天井面に断熱性能を持たせる(既にある断熱材を更に厚くすることも含む)ことが、暑さ対策には効果があるといわれています。新築後に2階天井面の断熱性能を上げる方法については、施工しやすいという点で、天井裏に断熱材をまんべんなく吹き込む、天井ブローイングが省エネ効果と費用の点でメリットがあると思われます。
下記は参考までに
・棟換気について/PAO建築設計ホームページ
http://www2.gol.com/users/paoarchi/munekanki.html
・天井断熱(天井ブローイング)ついて
天井断熱 - 日本建材・住宅設備産業協会 天井裏に断熱材を吹込み施工します
http://www.kensankyo.org/business/dannetsureform/example/ceiling.html#ex2
以上、参考になれば幸いです。
(現在のポイント:-pt)
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