店長のための観る聴く問う講座：店長の仕事って何だろう？

「店長って何をすれば良いんですか？」

あるチェーン店で店長向けの研修を行っていたときでした。
何か質問はありますか？と問いかけた私に、若い男性店長が、した質問がこれでした。

私は、一瞬、絶句をしてしまいました。そして、

「え？この店長は何を言っているの？そんなことも分からないで店長やっているの？」

と、思ったのですが、
よくよく考えてみると、この質問って、実は非常に深～い質問だな、と思えてきたのです。

彼は、店長に昇格して1年。
売り上げの管理、衛生管理、スタッフへの接客や調理のトレーニング、新規採用、会議への出席、デベロッパーのチラシへの掲載交渉など、店長として数多くの仕事を任され一生懸命に実行してきました。
そんな彼が、こんな本質的な質問「店長とは何をする仕事なのか？」を口にしたのです。
これは、簡単に私の答えを伝えるだけではもったいない。
そこで、私は、彼自身に、この質問を深掘りしてもらって、自分でその答えを見つけてもらうことにしたのです。

なので、私は彼に、なぜそう思ったのかについて質問をしました。
すると彼は、

「今やっている仕事って、会社から『店長業務』として指示をされている仕事です。確かにそれらはとても重要な仕事なので、店長としてがんばっていますが、どうも最近それだけではないような気がしているんです。」

「どうしてそう思うのでしょうか？」

「うちのチェーン店は、各店の立地もよく似ていますし、お店の規模や客層もとてもよく似ています。しかし、お店によって売上が全然違うんです。で、よく見てみると、やはり売上のよいお店の店長は優秀だし、悪いお店の店長は私みたいにできが悪いと思うんです。もちろん、私も売上を増やしたいし、優秀な店長になりたいんですが、会社から与えられている『店長の仕事』を一生懸命にやるだけでは、彼らのような優秀な店長にはなれない、と感じています。私には、何かがかけているような気がするんです」

この店長、若いのにすごいことに気がついています。
そこで、この店長に次の質問をしました。

「店長の違いを具体的に理解するにはどういう方法があるでしょうか？」

彼はしばらく考えた後、こう言いました。

「まずは、気になる店に行ってみます。店を観れば何か分かるかも知れません」

と言う事で、彼は、研修終了後、彼が気になっている「優秀な店」を訪問することにしたのです。

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