この世で最も優れた二つの条件とは? - コラム - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2024年04月25日更新

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この世で最も優れた二つの条件とは?

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徒然日記

その昔、あるバラモンがブッダの元を訪れました。
バラモンというのはインドの高僧のことで、カースト(階級)制度の中では最高の地位になります。
そのバラモンの中でも、特に有名で偉大だと言われるバラモンでした。


このバラモンはブッダの教えを学びたいということで会いに行ったのですが、他のバラモン達は、そんなものに教えを請いに行く必要は無いと反対したのです。
その反対を押し切って弟子を引き連れてブッダの元へ会いに行ったバラモンですが、道中で不安な気持ちがムクムクと湧き出してきます。
「もし何かを質問されて答えた際、それは間違っていると言われたら今までの名誉を失ってしまう。そうなれば、弟子達を食べさせていくことすら出来なくなるかもしれない…。」


不安な気持ちを抱きながらもブッダの元へ到着します。
そのバラモンを見たブッダは、バラモンに対して次のような質問をされました。
「バラモンの中のバラモンと言われる条件には、どのようなものがありますか?」


その質問を聞いて、バラモンはホッとします。
何故なら、自分の教えのことであれば得意範囲だからです。
「釈尊、その条件ならば次の五つです。この五つを満たしていれば最高のバラモンだと言えるでしょう。」


と、バラモンは次の五つの条件を挙げました。
1、七代遡っても両親共に純血のバラモンであること。2、聖典を暗記していて儀式なども行えること。3、美しい容姿を備えていること。4、優れた道徳を守っていること。5、智慧のある賢者であること。


それを聞いたブッダは次のように訊ねます。
「その中から一つ減らすことは出来ますか?」
「出来ます。容姿という条件は消せましょう。容姿と人格は関係がありません。」


「なるほど。では四つとなった条件から、更に一つ減らすことは出来ますか?」
「出来ます。聖典を暗記するという条件も消せましょう。マントラを暗記していて何になりましょう。」


「なるほど。では三つとなった条件から、更に一つ減らすことは出来ますか?」
「出来ます。純潔なバラモンであるという条件も消せましょう。生まれの良さが何になるというのでしょうか。」


「では、二つとなった条件から、もう一つ減らすことは出来ますか?」
「それは出来ません。何故ならどちらも必要なものだからです。道徳のあるところに智慧があり、智慧があるところに道徳があります。この二つは、この世で最も優れたものです。」


その対話を聞いていた弟子達は大騒ぎです。
今まで自分たちが正しいと思っていたことを、師匠であるバラモンがあっさりと覆したものですから納得いきません。


その時、ブッダが弟子達に向かって問います。
「他に考えがあるというのであれば、私と対話をしましょう。」


その言葉を聞いて、弟子達は黙ってしまいました。
何故なら、質問をした人間がバラモンの中のバラモンだったからです。
師以上の知識を持っているわけでもないので、何も言えないのです。


すると、バラモンが自ら弟子達に向かって説明を始めます。
「あなた達は私の甥を知っているでしょう?生まれも容姿も良く、幼い頃からの勉学で聖典も暗記しています。ですが、甥は乱暴者で戒を守るようなことはありません。生まれも、知識も、容姿も、何一つ役に立っていません。」
バラモンの言葉を聞いて、弟子達も納得してしまいました。


そして、ブッダが更に質問を続けます。
「では、その道徳や智慧の完成というのは、どういうことでしょうか?」
「釈尊、我々が学びたいのは、まさにそのことなのです。バラモンは道徳と智慧の完成を知らないのです。私達にそれを教えて頂けますでしょうか。」


ということで、ブッダが道徳と智慧のことを伝えるのですが…。
このバラモンも立派なのです。
自分の学んできたものに捉われず、足りないところは素直に認めています。


ブッダは相手が不安に思っていることを理解し、相手に質問をしただけです。
質問のみで相手から答えを引き出して、足りないところを補足したのです。


仏教は智慧と慈悲の二つから成り立っています。
道徳というのは、自分を律するためでもありますが、その根本にあるのは他人に迷惑をかけない…ということです。
相手のことを思うが故の道徳でもあるわけですね。


ただし、道徳を守ることは容易ではありません。
様々な欲望が人間を襲い、欲望に動かされてしまうからです。
その根本にあるのがエゴであり、仏教の智慧とは、エゴがどこから起こるのか…ということを明らかにするものです。


以上のことから、道徳と智慧はセットであり、仏教は智慧と慈悲から成り立っている…ということも分かります。
大切なのは知識と智慧は別物だということです。
バラモンが聖典を暗記していても何にもならないと言っていたように、ただ仏教の教えを学んで分かった気になっていては何の意味も無いのです。


そこで実践というものが必要になってきます。
聞いたことを腑に落として実践出来るようになった時、初めて智慧になるのです。
色々なことを知っていて教壇で教えているから凄い…というわけでは無いのです。


仏教の智慧を慈悲を学んで、実践出来るようになった時…。
初めて、この世の幸せというものが何か分かるのですよね。
そのために学ぶのであって、学びのための学びには何の意味もありません。


バラモンの教えには無く、ブッダの教えにはあった「智慧」と「慈悲」とは一体何なのか…。
多くの方に知って頂きたいものです。


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