ワンピース世代

ワンピース世代

ツイッター等のＳＮＳ（ソーシャルネットワークサービス）を使い、悪ふざけをした画像をアップして炎上する騒動が続いています。アルバイト先の業務用冷蔵庫に入った自分の写真、テーマパークで悪ふざけした写真など。周囲を顧みず、自分のバカさ加減を自慢したいためだけの愚行です。

彼らは、「ああ、『ゆとり世代』として育った若者たちか」と指差されてしまうのがかわいそうなところ。この世代は、仲間とのつながりが頼りで、仲間以外は「敵」という思いが他世代より強い点がアニメ「ワンピース」のストーリーとつながるからでしょうか、「ワンピース世代」とも呼ばれます。

もちろん悪ふざけする若者はごく一部で、この世代は「素直で優しい」という特長もあり、ステレオタイプ化するのはよくないかもしれません。が、この世代が社会人になり始めています。経営者や上司として他世代と違う点を理解しておくことも必要かと思います。

まず第一に、彼らが命より大切にしているもの。それはスマホ。ＬＩＮＥ（ライン）という仲間とのチャットはコミュニケーションに必須です。スマホを禁じたりすることが嫌われる大人への第一歩。気をつけましょう。

そして、何より仲間を大切にします。仲間をほめ合い、いいね！を連発します。そう言ってくれる仲間との絆は過剰に強固。その一方で、叱る人は敵です。本人のためと叱る上司は敵視されるおそれもありますので気をつけましょう。

そのためか、「いわれなき自信」が強いのも特徴です。家庭でも学校でも「ほめ殺し」で育っています。自分の考えと違う発想は瞬時に否定し、仲間に同意を求め、同意してもらって慰められ、一層自信を深めていきます。

彼らがかわいそうな点は、ややもすると「石の上にも3年」ができないこと。そのため、このままでは転職を繰り返し、非正規雇用の安価な労働者として一生酷使されてしまうおそれがあります。その点は世代が違う誰かが教えてあげなくてはいけないのですが、最初に聞く耳を持ってもらうことが必要です。生涯報酬を計算できるかどうか（文系は計算に著しく弱い）、正規雇用と非正規雇用では１億円も違うことが理解できるかどうかが、まず課題です。

余談ですが、彼らの教祖はＥＸＩＬＥ!?。まずは（バカにされること請け合いですが）ＥＸＣＩＬＥダンスでも覚えてカラオケで披露しましょうか。タイミングさえ間違えなければ、彼らの心に一歩近づけるかもしれません。

心が通じ合えば、大きな戦力となってくれることでしょう。

（トラベルニュース「井門隆夫のＣＳ宣言」8月25日号より）