1.誰が言ったか知らないが・・・食後にすぐ歯みがきは良くないってホント？

　近頃、患者さんから「食後すぐに歯を磨くのはいけないんでしょうか？」ってよく質問されるのですが、結論から申し上げるとこれはある意味でウソです。難しく考えずに「とにかく歯をよく磨きキレイにすること！」これが重要なんです。

　多くの患者さんからこうした質問がくるのは、どうもテレビ番組の影響のようでして…、何年か前にも複数の患者さんから同様の質問を受けました。とある幼稚園では、昼休みの歯みがきを巡って現場の保育士さんや保護者まで巻き込んで、「歯磨きさせる」、「させない」で混乱があったようです。

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　テレビ番組の全てがウソではないにしても、専門家っぽい人が出てきて解説していれば、素直な視聴者は信じちゃいますよね？でも、世の中にはみんなが当たり前だと思っているコトや、知っている知識とワザと逆のことを発言して、目立とうとする人もいるんですね…残念ながら。。

　あと、こういう話には重大な前提条件が抜けていることが多いんですね。

　ちなみに「食後はすぐに歯磨きしない方がイイ」って主張している方々の論拠となっているのは、

「食後は虫歯菌によって作られた酸によって、お口の中が酸性に傾いていることがあり、歯の表面が溶けかかった状態で、歯ブラシでゴシゴシ強く磨いてしまうと、歯が削れてしまう可能性がある」

という理屈なんです。

　ただ、これは試験管内での実験結果に基づいたストーリーであって、ヒトの口の中で実際に起きている現象をモニタした結果ではありません。

　「その時、何を食べたのか？」という食べ物の性状の違いや、その人の唾液の質、性状と量の違いなどを全て無視した実験条件でのお話に過ぎないのです。

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2.そもそも論になりますが…むし歯が成立する要素を考えると…

　むし歯は専門的には「う蝕（うしょく）」と言います。う蝕はStreptococcus Mutans（ストレプトコッカス・ミュータンス）というバイ菌によって引き起こされる感染症です。ミュータンス菌は糖分を栄養分として摂取して、代謝産物として酸を作ります。この酸で歯を溶かすんです。この辺りのお話は皆さんご存じだと思います。この話から分かることは、

①歯の周りにミュータンス菌がいなければむし歯にならない。

②糖分がなければバイ菌がいても歯は溶けない＝むし歯にならない。

③糖があっても、バイ菌に食事の時間＝酸を作る時間を与えなければむし歯にならない。

ということです。むし歯が成立するための、上記の３つのファクターに、歯そのものの丈夫さを加えると下図のようになります。

キシリトールガムの副作用？　http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-65547/　

　要するに、食後に早いタイミングで歯を磨くことは、口の中のバイ菌を減らす、糖分を減らす、酸を作る時間を与えないことになりますから、やっぱり早く磨いた方が良いんです！

　もし、口の中の酸性状態がどうしても気になる方は、お茶を飲んだり、キシリトールガムを良く噛んで唾を沢山出してから歯を磨くと良いかもしれません。あれこれ理屈を言っている間に、うっかり忘れてしまうと大変…皆さんも「早く歯磨きの習慣」を身につけてくださいね。

＜参考資料＞ 

1.図説齲蝕学  著：須賀 昭一　医歯薬出版

2.歯科の総合情報サイトMI21.net　「QOLの向上のために歯科医療ができること」http://www.mi21.net/qol/ability/relativity.html

お口の総合クリニック（審美歯科・口腔外科） / つくばオーラルケアクリニック
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