飯田 裕
イイダ ユタカグループ
<医学博士が解説>歯科で頻用される抗生剤ジスロマックってどんな薬?
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1.ジスロマック(アジスロマイシン)はバイ菌をやっつけるお薬です
ジスロマックはマクロライド系という系統の抗生剤(抗生物質、化膿止め)で、一言で申し上げればバイ菌をやっつけるお薬です。従って、バイ菌が原因で生じる化膿性の炎症がある場合=バイ菌のせいで膿んでいるような時にに用いられます。例えば耳鼻咽喉科では喉の炎症や鼻炎、中耳炎、小児科や呼吸器内科では肺炎や気管支炎、歯科では歯周病の急性炎症や根っこの先が膿んでいる場合などに使用されます。
上の奥歯の痛み・・・原因は鼻炎かもしれません http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-123310/
他の抗生剤と比べた場合のジスロマックの特徴として、アレルギーの報告がほとんどないことや、副作用が少ないことが挙げられます。
歯科で頻用される鎮痛剤「ロキソニン」について http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-61163/
2.ジスロマックの副作用が少ない理由とは?
このお薬は内服した後、胃腸から吸収され血液中に移動します。
ここまでは他のお薬と一緒です。その後、白血球とともにバイ菌がいて強い炎症反応が起きている場所=薬が効いてほしい病巣へ集まります。
白血球にも色々種類がありますが、好中球というバイ菌がいる場所に積極的に移動し、パックマンのようにバイ菌を食べてしまう白血球の一種に取り込まれて移動するのです。薬の効き目が長く、化膿している病巣部分に集中的に留まるため、効いてほしい場所にだけ効き目を発揮して、身体全体に広がらないので副作用も少ないという優れた特徴がございます。
余談になりますが、ジスロマックが好中球に運ばれること、好中球は強い炎症のある病巣に集まることを踏まえると、手術後の感染予防の目的での使用や、強い炎症を伴わない慢性化した病巣の治療には、向いているとは言えません。
近頃は「歯周病の治療にジスロマックが有効である」とする報告があり、大して強い炎症を伴わない普通の歯周病にも用いられる傾向がありますが、おそらくジスロマックよりも消毒薬などを活用するか、他に適した抗生剤があるはずです。
歯科医師から見た2型糖尿病と歯周病の関係性 http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-131473/
3.ジスロマックと下痢…副作用やデメリットは?
実際に服用する患者さん側のメリットとして、病巣に長く留まるということは、薬を飲む量を抑えられることに繋がり、1日1回3日間飲むだけで7日間効果が持続するため、薬を毎食後に飲む煩わしさが軽減できること、つい飲み忘れてしまうことも少なくなるのではないかと思います。
デメリットとしては、腸を動かす性質があるため、内服してから90分~数時間後に突然下痢する場合がございます。お腹がグルグルと動いて急に下痢するので、びっくりされる患者さんもおられるようです。アレルギーとか何か薬が合わないために起こった現象と思われがちですが、この下痢は単発で1回だけのことが多く、他の抗生剤のように良い細菌=腸内細菌がやられてしまうために起こる下痢とは異なりますから、何度も続くことは少なく心配はございません。
薬である以上デメリットが無いわけではありませんが、患者さんにもメリットが多く、画期的な抗生剤だと思います。もしこのお薬について分からないことがあれば、主治医の先生や薬剤師さんにご確認くださいませ。
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