高原 誠(税理士)- コラム「登記について・最終回」 - 専門家プロファイル

高原 誠
不動産鑑定士と協働。不動産に強い相続専門の税理士です。

高原 誠

タカハラ マコト
( 東京都 / 税理士 )
フジ相続税理士法人/株式会社フジ総合鑑定 税理士
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登記について・最終回

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相続税・贈与税の基礎知識 2012-10-01 16:38

皆さん、こんにちは。

3回に分けてお送りしています「登記」のお話も、今回が最終回です。

前々回、前回は「相続登記」及び「贈与登記」の手続き等に関しての基礎についてお届けしました。

最終回の今回はその総集編として、「相続と登記」にまつわる具体的なお話をいくつか挙げていきたいと思います。


遺産分割協議により公平に遺産分割を行おうとする場合、特に分割しづらい不動産においては、後々相続人間に不満や異論が出ないよう、「適正な評価額」を把握しておきたいとお考えの方も多いかと思います。

また、遺産分割協議の中で、二次相続(被相続人の配偶者が亡くなった場合に発生する次の相続)対策上、ある不動産を被相続人の配偶者が相続した方が有利なのか、あるいは子供名義にしておいた方が有利なのか、また、一般的には被相続人と同年代で年老いているであろう配偶者の、今後の最低限の生活力を確保する観点から考えてどのように相続すべきなのか等、判断に迷う場合があります。


更に、相続税対策のみならず、後に不動産を売却する予定があるのならば、譲渡所得の計算上、誰に相続させておいた方が有利なのかが変わってくる場合もあります。

(詳しくは2011年5月13日UPのコラム「相続で取得した不動産を有利に売買する方法~取得費加算の特例~」をご参照下さい)


賃貸マンション、賃貸アパート等のいわゆる収益用不動産の場合、今後の相続税対策、所得税対策、納税資金対策、生活資金対策等の方針如何によって、誰の名義で登記しておくのかを慎重に見極める必要もあります。


そして相続税対策の一環として相続前に不動産を生前贈与する場合には、以下の制度等に留意した贈与計画が必要となってきます。

A) 暦年課税による贈与(いわゆる110万円まで非課税)

B) 相続時精算課税制度による贈与(2,500万円まで非課税、但し、相続発生時に贈与時の評価額にて持ち戻し)

C) 婚姻期間20年以上の配偶者に2,000万円まで(暦年課税分を含めると2,110万円まで)居住用不動産等を非課税で贈与出来る「贈与税の配偶者控除の特例」

(詳しくは2011年12月17日UPのコラム贈与税申告の準備はお済みですか?をご参照下さい)

A)~C)のいずれの場合であっても、出来るだけ不動産の評価額を圧縮し、なるべく贈与税の負担を軽減したいものです。


また、B) 相続時精算課税制度を使って贈与を実行した場合、その後、相続が発生した場合には贈与時の評価額で固定され、相続税の評価額に合算されてしまいます。

そこで、B) 相続時精算課税制度を使う場合には、今後、評価額の減少が見込める不動産、例えば、減価償却していく家屋を生前贈与するケース等では、贈与時点の高い評価額で持ち戻されてしまうため、相続税評価上は不利に働きます。

逆に、今後評価額の上昇が見込める不動産、例えば、新駅開設予定がある土地や市街化区域に編入する予定のある土地等を生前贈与すれば、贈与時点の低い評価額で合算されるため、相続税評価上は有利に働きます。


他方、評価額が低い割に高収益を上げている収益用不動産をいつまでも親名義のままにしておくと、所得税負担が重く、現金もどんどん貯まっていってしまうため、相続税対策(節税対策)にはなりにくい側面があります。

このような場合には、生前の早い段階で子供や孫世代に名義を変更しておくか、あるいは同族会社等を設立し、当該賃貸物件を同族会社等に移転させておくことで、子供達が得る賃料収入を「現金」や「保険」、「給与」といった形でストックさせておくことも可能となり、所得税対策上も相続税対策上も有効な手段となるケースがあります。


このように、「相続登記」や「贈与登記」は、単に不動産の名義を事務的に移転すれば良い訳でなく、そのケースごとによって、不動産の適正時価や個性を見極め、将来の有効活用や節税対策をも見極めた上で総合的に判断していく必要があるのです。


やはり相続は、一辺倒な対策ではなく、セカンド・オピニオン等も参考にしつつ、多角面からの検討を重ねることが重要という事ですね。


私どものフジ総合グループは、不動産評価のプロである「不動産鑑定士」と相続専門の「税理士」がタッグを組んだ独立系コンサルティング事務所として、このようなご相談を多く承っております。

不動産活用等を踏まえた相続対策等でお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談下さい。

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