カウンセリングをしていると、幸せ＝成功だと思いこんで苦しくなっている方が少なくないと感じます。

その人によって、社会的に認められるようになることだったり、経済的なものだったり、何かを極めたり、イメージされていることはそれぞれ違うのですが、「そうなりたい」というより「そうならなきゃ」という焦りや不安に駆り立てられているように思えてなりません。

私は成功することがかならずしも幸せだとは思っていません。

それこそカウンセリングには、社会的成功や経済的成功をおさめている方々もいらっしゃいます。私の中高大の同窓生にもいわゆる成功者がたくさんいます。

でも、彼ら彼女らの全員がもれなくとても幸せそうで羨ましいかと言えば、かならずしもそうとは言えません。部分的に「いいなあ」と思うことはありますけどね。

私にとっての幸せは、自分が好きなように自由に暮らすこと。社会的に成功するには多くの人と繊細な交渉や調整を重ねなければならず、経済的に成功するには一定期間集中的に仕事に没頭しなければなりません。

いずれもひとりの時間を犠牲にしてかなりの時間とエネルギーをかける必要がありそうで、自由を愛する私は、そこまでする魅力を感じられないまま今に至ります。

もちろん、多くの人と関わって仕事を進めていくことにやりがいを感じる人もいるでしょう。お金で安心を得る人もいると思います。それは理解しています。

でも、全員が成功を目指す必要はない、成功できない自分はダメだと落ちこむ必要はないということを言いたいだけです。

刺激や変化が好きな人もいれば、平穏を好む人もいます。たくさんの人と関わることが好きな人もいれば、ひとりで過ごすことが好きな人もいます。

大事なのは、他人から見て「成功して幸せそうに見える」ではなく、本人の心が満たされているかどうかだと思います。（『ポツンと一軒家』はいい例ですよね）

それには、自分がどういう状態を快適だと思うのかをよく知る必要があります。

私は、頭で考えるだけでなく、体験から学ぶことが重要だと思います。特に、気力体力回復力がある20代30代のうちにいろいろな経験をして、自分にとってどんなことが苦痛なのか、どんなことは問題なくできるのか、どんなポイントが重要なのかなどを知って、人生の後半戦に活かしていくようにすることが幸せへの道だと思います。

快適な状態がよくわからなければ、苦痛がかぎりなく少ないイメージをしてみてください。「ワクワク楽しい」とは違います。現実は、楽しい日もあればつらい日や悲しい日もあります。「楽しくなければならない」と思うとつらくなります。

他人に称賛される幸せは瞬間的なものなので、持続させるには絶え間ない努力や不安やプレッシャーがつきまといます。他者評価や他者承認によらない、自分が快適であることの幸せが最強なのではないでしょうか。

ネガティブな妄想や自責に考える力をつかうより、自分はどんな状態が幸せなのか快適なのかについてあれこれ妄想・検証し、自分に合った環境調整をしていくことにエネルギーをつかって自分を幸せにしてあげましょう