東京電力型会計~経営姿勢はアレですが仕組みは学べる
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こんにちは。
将来型会計事務所LBAの岸井です。
先週末、関東も梅雨入りしましたね。
近年の変な天気より、降ると分かっていて降る梅雨の雨の方が対処はしやすいです。
でもやはり、さわやかに晴れた空が待ち遠しいですね!
さて、発言する度、検証する度に批判を受けている東電の話題をひとつ。
前置き
東電批判に一つに「高コスト体質」だというものがあります。
この問題が起きて有名になった言葉が「総括原価方式」ではないでしょうか。
総括原価方式とは、公共料金が決められる際に用いられる考え方の一つで、
事業運用にかかる費用と適正な事業利益の合計を公共料金として設定する方式です。
サービスの提供にかかる費用を見積もり、それに自社が確保したい利益を乗せて、
料金(売値)を設定するので、公共サービスなどであればほぼ間違いなく計画通りの利益がもたらされます。
何が問題であったかというと、他に選択肢がない独占企業である場合、
お客さん側は設定された料金に従わざるを得ないため、経営努力とくに原価の低減をしなくても
企業に利益が確保されてしまうという点です。
東電の場合、豪華な保養所の管理費や、高い(といわれている)ボーナスまでもが「原価」に組み入れられていて、
結果としてその分が公共料金に上乗せされていたことから、相当な批判を受けているのです。
また、依然としてそういう空気を読まない経営姿勢がアレなわけです。(深くはいいません。)
マネしても良い部分
ここからが本題です。
東電が悪だから、「総括原価方式」も悪だというイメージでの報道がなされていますが、
決してそんなことはありません。
むしろ、中小企業は、「総括原価方式」的な考え方を学んで損はないと思っています。
多くの中小企業では、販売するモノやサービスの値段を決める際に、
「いくらで売れるか」をモノやサービスごとに真剣に考えています。
一方で、「いくらで作ることができるか」は、ざっくりとしか把握していません。
ともすると、全く把握していません。
これでは、どれだけたくさん売っても利益が残りません。
そこで、販売するモノやサービスの値段を決める前に、
まず、作るための費用と確保したい利益(率)を算定してみましょう。
できればモノやサービス毎に把握してみてください。
その額が、そのモノやサービスの貴社としての適正価格です。
こんな値段じゃ売れないよー!
となった場合、その対処方法は3つ。
・原価低減・・・一般企業はここを頑張ることで利益を確保しようとします。
・利益水準見直し・・・欲張りすぎていませんか?独りよがりな利益設定ではいけません。
・価格交渉・・・良さをPRして価格を維持・向上させる努力はしていますか?
それでもダメな場合は、
そのモノ・サービスを提供し続ける意味を再考する必要があります。
ブランドイメージの維持や次の販売に繋がる戦略商品なのか、
単に売上を上げることが出来るから作っていただけの商品なのか、
十分に検討しましょう。
その第一歩として、東電のマネをして「総括原価方式」的な考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。
本当は「総括原価方式」そのものを自社で導入できれば楽なんでしょうけどね(笑)