小日向 るり子
コヒナタ ルリコグループ
自死遺族の手記2 ~弟を自死で亡くしたNさん~
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Nさんの手記、2回目です。
弟さんの知らせを受けて、実家に帰ったときの心情を7か月経った時期に綴られています。
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弟の死亡連絡を受け、急いで実家に向かった。
あの時は、なんだか不思議な気分だった。
なんていうか、
自殺?嘘?死んだ?もう会えない?
という感覚と、
「くそ・・あのやろう・・勝手な事しやがって・・」
怒りに震えていた感覚。
頭が、インフルエンザの時のようにボーッとし、本当に錯乱状態だったように思う。
1時間くらいして実家が見えてきた。
マンションの上層階に母親が居た。
生気が吸われたかのように呆然とした顔で、母は空をずーと眺めていた。
弟が、仕事を辞めたとき、母が泣きながら、弟の将来を心配していたとき、
私が、「俺に任せて、大丈夫だから心配しないでくれ」と言い、
弟を実家から、引きずり出し、一人暮らしをさせ、私の働いている会社に入社させた。
弟は、仕事や、色々な面で苦労していたが、
両親には、「(弟のことは)大丈夫だから。もう心配しないでくれ」とだけ報告していた。
それから、2年後、まさか死んでしまうとは思わなかった。
家の重いドアを開け、母親に「弟を守れなくてごめん」と言って私は頭を深く下げた。
母親は泣いて、
「○○(弟の名前)は どこ行ったの。どこに居るの」
「今すぐ連れて来て・・」
と私の足をつかみ離さない。
私は呆然と立ち尽くした。
謝る以外、何も出来なかった。
未だに、私は深い後悔と、自己嫌悪になる。
会社では偉そうに「人生はこういうものだ。お前らこうやって生きた方がいい」と熱く語り、
友達の間でも、比較的信頼されて、相談役になる人柄だった。
しかし、たった一人の弟すら守れなかった。
私はこれから、どう生きたらいいのか。
人に人生を教える自信もない。
しかし、この経験をいかし、同じ事を他の家族にさせたくない。
その想いだけは誰よりも強いように思う。
俺の親愛なる弟よ。
俺はどうしたらいいのか。教えて欲しい。
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