シリーズ「住宅と庭」の話 (第1部)(その3)
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【都市化する農村住宅・・・「家」を囲う「塀」】
前回のコラムでは、懐かしい農村住宅の「縁側」の話を致しましたが、農村住宅の構造をもう少し詳しくご説明します。
上図は、武蔵野の代表的な農村住宅の配置図です。
田んぼにして2反程度。約600坪程度が平均的な敷地です。
図の左側・・・南側の「前の道」から入ると前庭があり、東側に家畜小屋、西側に納屋があります。
そして正面に縁側のある母屋があります。前庭を「コ」の字型に囲むように建物が配置されています。
前庭は、見るための庭でなく、作物の選定作業など農作業の場でありました。縁側は、農作業の休憩所であり、
昼飯を食べる第2のダイニングともなる家族団らんの場でもありました。
また、「前の道」を行く村人を呼び止め、お茶を振る舞う情報交換の場でもありました。
敷地全体をエリアとしての「家」としてとらえていたのだと思います。
農村住宅(かつての大多数の日本の住宅)は、「建物の外」に対して一線を引かず「あいまいさ」をもって付き合ってきました。
それは、農作業を通して生活する必然の生活スタイルであったと思います。そして、この生活スタイルは永い年月を重ねてきました。
ところが、郊外の農村にも都市化の波が押し寄せ「前の道」には「よそ者」が歩き、やがてバス通りとなって行きます。
前庭から縁側を挟んで、浸透性のある居間を持つ農村住宅は、「前の道」から丸見えになってしまいます。
視線を防ぐのと同時に、家族の生活エリアの「囲い」として、次第に「塀」が作られるようになっていきました。
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