性格・気質、脳・神経、遺伝子(6)
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2007-08-13 00:00
以上、前回の病前性格から発展して、性格因子についてご説明いたしました。脳・神経について言及したところが少なくなく、解剖学や生化学の基礎知識も必要とされるため、抵抗を覚えられた方も少なくないのではと恐縮いたします。しかし、病気や性格に限らず、あらゆる精神活動は脳・神経の機能ですから、心や脳の問題についてご説明を深める上では避けられないところです。更に論を進めると、遺伝子・DNAについて言及することになりますが、今回はこの程度に留めておきます。
一方で、環境因子についても十分な考慮をしなければなりません。生活環境はもとより、周囲の方々とのご関係なども影響いたします。幼少期からの親子、兄弟・姉妹との関係にはじまり、成人後も友人・恋人・夫婦関係など性格形成に作用します。DSM のクラスター分類や Cloninger の説明した性格次元がまさに相当しうるもので、他者との関係を通じて、協調や共感、そして自己実現・自己超越と至るのです。この概念はむしろMaslowによる人間性心理学・自己実現理論として有名です。詳しくはまたの機会にご説明いたします。いずれにしても銀座泰明クリニックでは現在お悩みの病気にとどまらず、病前性格・人生観などまで、患者さんと一緒に考えてまいりたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。
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銀座泰明クリニック