病院や医者の選び方(3)
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本当に信頼できる医者にかかりたいものですが、それにはその医者がどのような性格の人物なのか把握する必要があります。そこで、私がかつて勤務していた長野県・佐久総合病院の内科医で、芥川賞作家でもある、南木佳士先生がご自身の著書「医者という仕事」朝日文芸文庫、29項、に書かれていた医者の分類をご紹介いたしましょう。
1. 医学の進歩を無邪気に信じ、進歩することは良いことだと信じきって感傷を廃し、研究論文を書きまくって狭いギルド社会の中で出世するタイプ
2. とりあえずマニュアル通りのことをやって、患者には深入りせず、医学の進歩とは無関係の論文で博士号を取り、中流生活者としての基礎を築く者
3. 最先端の医療では捉え切れない、人間の問題に興味を持ち、地域の老人医療などに取り組む連中
1. が全く悪い医者で、3. がとても良い医者に表現されていますね。一面では真実かもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。医学・医療の進歩のために研究は必要ですし、それに携わることは並大抵な努力で続けられるものではありません。特に一流の研究医と呼ばれる方は大抵、個人的な欲求をかなり犠牲にして純粋に研究へ精進しています。一方、地域医療や老人医療に貢献されている医者に素晴らしい方が多いのは確かですが、中には自分が中心となって活躍することに喜びを見出している自己愛的な人間もいます。従って「そのような傾向がある」というくらいに捉えていただくのが良いと思います。(続く)
銀座泰明クリニック