インターネットによる精神障害の早期発見・早期治療(1)
-
インターネットを利用した精神障害の早期発見・早期治療
DUI (Duration of Untreated Illness, 疾病の未治療期間)を短縮するために
茅野分*,**,***、水野雅文**、長谷川千絵**
藤井千代***、根本隆洋***、山澤涼子***、小林啓之***
村上雅昭****、鹿島晴雄***
銀座泰明クリニック(精神神経科)*
東邦大学医学部精神神経医学講座**
慶應義塾大学医学部精神神経科学教室***
明治学院大学社会学部社会福祉学科****
抄録:初回うつ病のDUI (Duration of Untreated Illness, 疾病の未治療期間)を大学病院とクリニックで調査したところ、約3ヶ月間であった。クリニックの受診経路にインターネットが多かったため、次にメールによる精神保健相談を1年間で451名へ行った。内訳は30歳前後の女性が中心を占め、首都圏・大都市をはじめ、地方や海外からも多数の相談を認めた。内容は未治療の受診の適否や、治療中のセカンドオピニオンが大半だった。主治医との治療関係や現在の治療内容など、主治医に相談できない悩みも少なくなかった。一方、自傷・自殺への対応、診断の不確実性、コミュニケーションの不全、資源の確保など注意しなければならない点もある。これらの問題を解決・対処しながら、インターネットを利用して精神障害の早期発見・早期治療を促進していくことが望まれる。
Keywords: internet, mental disorders, depression, early intervention、DUI (Duration of Untreated Illness)
精神科治療学第23巻05号
(つづく)