![羽柴 駿](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1224354767.jpg)
- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:刑事事件・犯罪
- 羽柴 駿
- (弁護士)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
遡及処罰の禁止の原則は、日本国憲法第39条が、「何人も、実行の時に適法であった行為・・・については、刑事上の責任を問はれない。」と定めているものです。
このような遡及処罰の禁止は、一事不再理の原則や無罪推定の原則と同様に、日本だけでなく世界の民主主義国で必ず採用されている刑事裁判の大原則の一つで、アメリカ合衆国憲法にも定めがあります。また基本的な国際人権条約の一つである「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)も、「何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為または不作為を理由として有罪とされることはない。何人も、犯罪が行われた時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されない。」(第15条1項)と、同様の原則を定めています。(この自由権規約には、日本もアメリカも加入しています。)
この原則は、ある市民を犯罪者として処罰するために、実行の時は犯罪ではなかった行為を後になって新しく犯罪としたり、実行の時に犯罪ではあっても事後的な法改正によって実行当時の法定刑より重く処罰するといったことがないように、国家の処罰権を制限したものです。国家の権力乱用を防止するための制度で、刑事裁判における最も重要な原則の一つです。
(次回へ続く)