三浦和義氏の逮捕と遡及処罰の禁止(2) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:刑事事件・犯罪

閲覧数順 2024年04月25日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

三浦和義氏の逮捕と遡及処罰の禁止(2)

- good

  1. 暮らしと法律
  2. 刑事事件・犯罪
  3. 刑事事件・犯罪全般
カリフォルニア州法の改正

 いわゆるロス疑惑の舞台はアメリカ・カリフォルニア州ですが、2004年までの同州の刑法では、他州や他国の裁判で確定判決(有罪でも無罪でも)を受けた被告人については、訴追する(裁判にかける)ことが出来ないとされていたそうです。つまり、一事不再理の原則がアメリカ国内の他州だけでなく外国の裁判にも適用されていたのです。
 三浦氏は日本において2003年の最高裁判決で無罪が確定したのですから、その時のカリフォルニア州法によれば、同州法では2度と訴追されることがない(したがって、逮捕されることもない)ことが確定していたのです。
 ところが、この同州刑法が2004年に改正され、「他国」が削除されたのです。つまり、外国の裁判については一事不再理の原則を適用しないことに改めたのです。この法改正によって今回の逮捕が可能となったというのです。
 この法改正の背景には、メキシコなどからの不法移民がカリフォルニア州内で殺人などの犯罪を起こしても国外へ逃亡し、メキシコなど外国の裁判所で軽い刑の判決を受けるだけで、場合によってはまた同州へ舞い戻ってくるということへの反発があったと言われています。

                                  (次回へ続く)