- 真鍋 貴臣
- 香洋ファイナンシャル・プランニング事務所 代表者
- 香川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
【抜粋開始】
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/management.aspx?g=DGXNMSGD1503AN15102012000000
ソフトバンクは15日、米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収すると発表した。同日都内で開いた記者会見で、ソフトバンクの孫正義社長は「買収費用は手元資金と借り入れでまかない、エクイティファイナンスは実施しない」と話した。
孫社長は米国事業への新規参入について「大きなリスクがあるが、日本は少子化などで世界で見てももっともリスクのある国になる可能性がある。日本と米国にベースができることは安心材料になる」と話した。スプリントの買収によって「ユーザー数が9600万まで増え、日米の市場を合算すると、最大級の顧客規模を持つことになる。通信業者の売り上げランキングで見ても世界3位になる」と意義を協調した。
買収の仕組みについては「ソフトバンクがスプリント社の70%の株主になり、その後スプリントの増資を引き受ける。既存株主からの買い取り金額が9469億円、スプリントの増資で6240億円を引き受け、買収費用は合計1兆5700億円になる」と説明した。
スプリント買収についての報道を受けてソフトバンクの株価が下落したことについて「今回の買収資金は手元資金と借り入れで全額まかない、エクイティファイナンスは一切行わない。最近配当を増やしたが、配当方針に変更はない。さらに、(今回の買収で増加する)有利子負債を早期に返済していく」と株主に訴えた。現在の株価水準については「現在の時価総額は2.5兆円。このうち、上場済みのヤフーなどの子会社の時価総額は1.6兆円で、通信事業の価値は0.9兆円にすぎない。これは通信事業のEBITDA0.9兆円の1年分にすぎず、世界の通信事業者の中でも最も割安な水準だ」と話した。
【抜粋終了】
全く、孫正義氏という経営者は”凄い”の一言につきます。
孫氏の凄さは、経営者としての決断の速さ、大胆さにあります。
今回の買収に必要な投資額は1兆5,700億円と試算され、孫氏はこの全てを内部留保と有利子負債で賄うと発表しています。
ちなみに、ソフトバンクの平成24年3月期の当期純利益は3,137億円、フリーキャッシュフローは+3,645億円、フリーキャッシュフローから財務キャッシュフローを引いても+1,679億円となります。
孫氏が今後、どのような資金調達のシナリオを描いてこの買収劇を進めるのかはわかりませんが、強力なトップが会社を引っ張るというスタイルでないと、こういった投資はなかなか行えない事でしょう。
(ちなみに、マーケットは有利子負債が増える事を嫌気して株価が落ちておりますので、もしソフトバンクが資金調達を社債で行う場合は、まぁまぁ良い利率が提示されるのではないかと思います。このあたりは今後の注目トピックだと思います。)
特に、生え抜きがトップまで登ってゆくという日本型の会社では、事業に対する責任の所在が明確でない事や、成功よりも失敗の場合のペナルティが大きい事などから、こういった投資を行う事は非常に難しいのが現状です。
また、船頭多くして云々の言葉通り、簡単な稟議書を回覧するでも数日(あるいはそれ以上)かかってしまうような意思決定の遅さは、ビジネスにおいては致命的です。
先日、ユニクロの柳井氏が「それでも中国ビジネスを進めていく」と決断した事など、昨今の様な変化が速く時勢の難しい局面では、独裁者的トップの企業の方が輝いているように思えます。
日本型の会社のそれが、まさに現在の「これまでの資産を食いつぶしてゆく日本国」の姿そのままであるように、強いトップがカリスマと決断力で引っ張る企業は「新興国」のそれであるように感じます。
ただ、変化が急激な新興国の様に、その渦中にいる人間は急激な成長についてゆく事を求められますし、人によっては振り落とされる事もあるでしょう。
私たち凡人にできるのは、振り落とされないように自己の能力を磨きあげてゆくことぐらいでしょうか?
以上、暗いニュースが多い中で、非常に面白いニュースでした。
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