- 戸塚 美砂
- 服部・戸塚法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
私も何件か同様の事件を扱っていますので,注目しています。
“管理職には残業代を支払わなくて良い”などといわれることがありますが,これは大きな間違いです。
労働基準法第41条において,管理もしくは監督の地位にある者(管理監督者)には,労働基準法で定める労働時間等の適用が除外されていますが,管理職イコール管理監督者というわけではありません。
管理監督者というのは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者」とされ,管理監督者であるか否かについては、肩書きで判断されるのではなく、労働の実態に即して決定されます。
例えば、出・退勤の自由が無く、部下の人事考課や機密事項に関与していない「銀行の支店長代理」、昇進前とほとんど変わらない職務内容・給料・勤務時間の「課長」、材料の仕入・売上金の管理等を任されているが出・退勤の自由は無く、仕事もウェーターやレジ係に及んでいる「レストラン店長」は、いずれもこれまでの裁判において管理監督者性を否定されています。
労働関係の法的手続については,通常の訴訟の他,労働審判という,原則3回以内で結論を出すという手続が近年開始されました。争点が複雑でない場合は,これを利用すると迅速に結果が出るため,大変便利な手続と感じています。
但し,この審判に対しては,どちらかが異議を出すと通常の訴訟に移行してしまいますので,管理監督者か否かの判断のように,1人に対する判断が他の社員にも影響が及ぶ場合は,労働審判という手段を選ぶかは検討した方が良いと思います。
その他,注意しなければならないのは,時効が2年ということです。既に退職している場合は,この時効によって請求できなくなることもありますので,早期に手を打つことが必要です。