室内の温熱環境 - 住宅設備全般 - 専門家プロファイル

増井 真也
建築部門代表
建築家

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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室内の温熱環境

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スタッフと、我が家の温熱環境についての測定を行った。我が家は木造3階建て、外壁はラムダを使用し、屋根にはガルバリウム鋼板を用いている。そんな我が家の温熱環境測定を皮切りに、今後いくつかの住宅の測定を行うことで、基本設計段階での住みやすさの判定に利用するデータを採取しようと試みている。

ちなみに今回のデータは下記のようになっている。

測定環境
外気温:34.4度 風:微風 湿度:41.2% 天気:晴れ

1階和室窓を閉めた状態 (床:畳 壁天井:石灰クリーム 北西の角に配置)
室温:33.4度 湿度:47.5% 
西側外壁に面する壁の放射温度:31.7度 内壁に面する壁の放射温度:31.0度
天井放射温度:31.6度
北側ガラス面放射温度:34.6度

3階寝室 窓を開けた状態 微風 (床:フロアリング 壁天井:ビニルクロス 東南の角に配置)
室温:34.2度 湿度:49.7%
南側外壁に面する壁の放射温度:35.6度 内壁に面する壁の放射温度:34.6度
天井放射温度:35.5度
南側ガラス面放射温度:37.0度
天井裏温度:34.4度 天井裏湿度:62.3% ネオマフォーム裏面放射温度:36.3度

3階子供室 窓を閉めた状態 (床:フロアリング 壁天井:ビニルクロス 南西の角に配置)
室温:34.8度 湿度52.7%
西側外壁に面する壁の放射温度:36.1.度 内壁に面する壁の放射温度:35.2度
西側ガラス面放射温度:38.0度
天井放射温度:36.0度

測定結果に影響する断熱性能については下記のようになっている。

壁構造
石膏ボード15ミリ 断熱材高性能グラスウール16K厚み100ミリ 透湿防水紙 通気胴縁 ラムダサイディング
屋根構造
天井石膏ボード15ミリ 天井断熱材高性能グラスウール16K厚み100ミリ ネオマフォーム60ミリ 通気層 野地板の上ガルバリウム鋼板葺
(小屋裏には換気設備なし)

考察
1階と3階の温度差は窓を閉めた状態で1.4度、実際には階段を昇るにつ入れてムッとする感覚が少しある程度であった。各データを見ると、3階西側外壁面の放射温度が1階と比べて4.4度も高いことや、3階西側のガラス面の放射温度が1階北面と比べて3.4度も高いことが分る。逆にネオマフォーム断熱材裏面の温度は思ったより低く、天井裏の温度も換気設備が無いにもかかわらず、窓を閉めた状態の子供室より低い状態であった。
このことから、屋根断熱材を効果的に利用すれば、屋根からの熱伝導はほぼ防ぐことが出来るが、採光や通風のために配慮して設けた開口部、特に西側と南側に設けたものからの影響が非常に室内の温熱環境を左右するこということがわかった。
この温度差を完全に無くすことは出来無いが、緩和する方法を考えることは3階建て住宅の快適性の向上につながる。そこで、効果的と思われる手法を列挙してみよう。

・南西面の外壁透湿防水紙を遮熱性能タイプに変更。
・南西面の開口部に対し、外部ルーバーなどの日射調整機能を設ける。
・南西面開口部のガラスを遮熱性能のあるものに変更する。
これらの性能向上をすべてに均一に採用することはコストの大幅な上昇につながるが、例えば遮熱性能のある防水紙を1巻きだけ購入し、3階の南西面のガラスのみを遮熱性能の高いものに入れ替えるだけであれば、普通の住宅であれば20万円程度のコストアップというところだろう。コストとのバランスを考慮しながらも、居心地の良さにつながる事項だけに、出来るだけ採用していきたいと考えている。

詳しくはhttp://www.masuii.co.jp/