介護現場で理解されていないプライバシー保護と個人情報保護』 - 病院施設の教育と人事・採用 - 専門家プロファイル

福岡 浩
有限会社業務改善創研 代表取締役 業務改善コンサルタント
神奈川県
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月05日更新

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介護現場で理解されていないプライバシー保護と個人情報保護』

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介護サービス情報の公表制度に伴う調査情報の確認のために行われる調査員による調査では、指定介護サービス事業者に出向いて調査項目に従って調査(確認)します。私は、その主任調査員でもあります。

この調査項目に「従業者を対象とした、プライバシー保護に関する研修を実施しているか」とあります。調査員は研修の実施を確認するためには、研修実施記録を見ます。しかし、研修実施記録には、①研修の題目、②(実施)日付、③(研修)出席者、④(研修の)実施内容の四点が書かれていることが求められていますが、残念ながら、四点すべてが分かりやすく記載されている研修実施記録を見ることは少ないです。ここまでは、以前コラムを書きました「介護現場で理解されていない倫理及び法令遵守」と全く同様です。

さて、調査票の後半には「個人情報保護に関する規程を事業所内に掲示しているか」という確認事項があり、提示される規程の内容を見る限り、これで十分と言えるものは少ない。それは、どこかの規程をそのままコピーペーストしたような代物で、その事業所内で検討して作成されたものではないことは一目瞭然です。

問題なのは、表題の通り『プライバシー保護』と『個人情報保護』との違いさえ理解されていないことが、驚くべき現実です。介護事業所の管理者で、この両者について明確に説明できる方はほとんどいません。いませんと言い切れるほど少ない。では、念のために確認しておきましょう。

『プライバシー保護』とは、個人の私的領域に干渉することを禁じることです。個人情報の漏えいがプライバシー侵害につながることがありますが、だからと言って個人情報保護とイコールではありません。プライバシーには個人や家庭内の私事・私生活の意味があり、個人の秘密でもあります。また、それが他人から干渉されない、侵害を受けないという権利です。

『個人情報保護』とは、まさしく個人の情報、データを管理し、外部に漏えいすることがないよう保護することです。個人情報とは、個人の氏名、生年月日、住所などの個人を特定する情報のことですから、これらが当人の知らないところで取り扱われれば、事件、事故に発展する恐れがあります。

このように説明されれば、「何だ、そんなことはわかっているよ」と言われる方も多いでしょう。しかし、いざ、説明しろと言われると説明できません。それは、明確に理解できていないからです。

ところで、『プライバシー保護』の事例を挙げると、よりわかりやすくなります。例えば、介護現場では、マニュアルに謳っていることが多いのが、排泄や入浴時のプライバシー保護です。「排泄介助の際に、トイレまで誘導し介助者は安全が確認できる場合には、その場を外す配慮が必要である」などと書いてあります。これがプライバシー保護だということは誰でもわかります。私的領域に立ちいらないという原則です。

また、個人情報の保護のために、利用者の名前が特定できないよう、名前を黒く塗りつぶしてファックスすることがあります。しかし、一方で介護職員同士がファミレスで食事しながら話す内容は利用者のことだったりします。

『個人情報保護』について、入社、入職の時に誓約書を差し出します。その内容には、「退職後も守秘義務を負う」となっています。入社時に退職後のことまで誓約するのは、何となく納得がいかないという方もいるでしょう。では、なぜ、個人情報保護がこれほどまでに重要だと言われ、厳格に守る必要があるのでしょう。

介護サービスは、その対象者が要介護高齢者であり、サービスを提供するためには個人情報が必要です。同時にプライバシーにも立ち入ります。この両者を否応なしに他人に知られる立場にある要介護高齢者は、介護サービスによる自立支援と引き換えに自分の秘密や見られたくない私生活を見せることになります。このことを本当に理解できていないから、『プライバシー保護』も『個人情報保護』の意味も説明できないのです。説明できない介護職員がいる事業所では管理者も説明できません。管理者が説明できないのは、経営者がその重要性を十分に認識していないからでしょう。

この二つの最も重要な題目が十分に職員に浸透していない事業所では、マニュアルや規程に不備があったり、研修方法に工夫がなかったり、日々の業務に中で問題意識が養われていなかったり、様々な課題が見えます。

少しでも自事業所、自社の『プライバシー保護』及び『個人情報保護』に不安が感じられるなら、改善方法を考えてみましょう。

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