- 西内 純
- メープルFP相談室 代表
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
10年以上前に、えらい経済博士が行動ファイナンス理論のプロスペクト理論を展開してノーベル経済学賞を受賞しました。
行動ファイナンスと言うのは、従前「人間は利益の追求のみを目的として常に論理的に行動する」という効率的市場仮説に対し、「人々は常に合理的に行動するとは限らない」という前提に立って経済のあらゆる現象や金融市場の動きを考えていく理論です。人間の合理的な意思決定は時としてその時の感情によってぶれてしまうということです。
例えば、株式相場での大暴落を過去経験した人は、経験しなかった人に比べて株式相場の暴落シナリオを過度に考えてしまうというようなことです。
又、損失回避バイアスと呼ばれるものですが、投資家は自分の運用資産価値の上昇よりも下落に、過度に反応してしまうというように、感情的に行動する傾向が良く見られます。
「早い利食いと遅い損切り」というのは分かりますか? 例えば10%株価が上がったらすぐ利益確定するのに、10%株価が下がった時には損失確定するのを嫌い、いつか株価の回復があると信じて、含み損のままで放置して、そのうち損を拡大するというのはよく見られる行動です。
人は損失を被った時の痛みは儲かった時の喜びよりはるかに大きく感じるのでこのような行動が起きるのだと思います。
また株式相場の動きを歴史的にみると上昇相場と下降相場を繰り返しながら、この20年間の日本の市場を除いては、緩やかに上昇カーブを描いているものです。と言うことは、上昇相場の後には下降相場が来ることは想定されているにも拘らず、多くの人が上昇相場での成功体験が忘れられず、下降相場であるのに、一度株式相場から離れることを考えず、下降相場の中でも必死に儲けようと頑張られている方が多いのではないでしょうか? 下降相場中は、株式相場からはなれ、例えば債券へ投資対象を移していくという賢い動きがなかなかできないようです。
そこで、論理的行動ができない一般投資家には、面白味はないが、長期保有で確実な成果の出るインデックス投資が無難ではないかと思う次第です。
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