- 五十嵐 弘史
- ネクストワンズドリーム
- 財務コンサルタント
対象:財務・資金調達
「日本政策金融公庫の創業融資は簡単に出る」というお話を聞くことがありますが、実際は全く簡単ではありません。ある程度の条件が揃っており、かつ代表者の使命や想いがあれば資金調達に成功しますが、安易な考えでは満足のいく資金調達はできません。
どんな時にできないのか
公的料金の延滞・滞納
日本政策金融公庫は『公的機関』であることは皆さんご存知であると思います。そのため、資金調達が出来ない事例その1として『公的料金の延滞・滞納』がよくあります。公的料金とは、税金をはじめ水道光熱費など公的に支払わなければならない支出です。公的機関である以上、その情報を集めるのは必然であり当然ですので、融資申込みをする前に思わぬ未払い等がないようにチェックを行い滞納や延滞がないようにしてください。ある場合は融資が降りる可能性は極めて低くなります。また、この公的機関への延滞・滞納については要件に記載されていないため、いくら自己資金があったとしても思わぬ落とし穴になりますので十分な注意が必要になります。
自己資金の考え方の相違
自己資金についてですが、融資総額の3分の1以上の自己資金が必要になると要件に記載競れていますが、自己資金の考え方を相違してしまう方がいます。ここで示す自己資金とは、住宅ローンや個人ローンなどの代表者が持っている負債を引いた額になります。
例えば、自己資金が500万円あるとした場合、要件をみる限りでは1500万円の融資が受けられるだろうと考えられますが、そこに個人ローン(車両ローン)300万円があるとすると、自己資金は200万円と認識され、最高600万円の融資しか得る事ができなくなります。
箪笥預金はNG
箪笥預金は自己資金としての認識からはずされてしまう場合があります。上記で申し上げたとおり、日本政策金融公庫も金融機関ですので必ず金融機関に預け入れておく必要があります
使命や想いの欠如
当然であることですが、代表者の素質を見ています。そのため、自社に対する創業経緯や創業への想いをしっかりともっていなければなりません。そこで必要になってくるのが事業計画書です。
事業計画書を作成する事により、自社の強みや差別化された考え方、想い、使命など色々な発見に繋がります。また、融資申込みの際に記載する創業計画書の作成が簡単にできます。
融資が通らない
どんな金融機関でも同様な処理をされていますが、日本政策金融公庫の創業融資を一度申込をしてしまうと記録が残り、かつ再チャレンジして申込をしても融資は通りません。そのため、上記の最も注意すべきポイントを再度確認してから融資申込みを行わなければなりません。
他の融資制度もあります。
日本政策金融公庫での融資が下りなかったとしても、各都道府県の融資制度もありますので諦めてはいけません。また、満足のいかない結果になったとした場合、現在計画している資金使途を再度見直しをし、設備や店舗内装費などをリース・割賦なでカバーする方法もあります。
満足融資を得るためには
満足いく融資を得るためには、各融資制度の要件に該当は当然ながら、創業に必要な事業計画、資金計画をしっかり作りこむ事が重要なポイントになってきます。
そして、何よりも満額融資に頼るのではなく、助成金や補助金、出資、設備や内装をリースや割賦で行うなどあらゆる方法を考慮し、計画値を作成していく事が満足のいく創業資金調達になってくるのではないかと思われます。
このコラムに類似したコラム
都内の創業資金の借入は、どこの日本公庫の支店に申し込むのか? 渕本 吉貴 - 起業・資金調達・事業再生コンサルタント(2013/07/28 15:19)
信用保証協会との面談(創業資金融資の資金調達) 渕本 吉貴 - 起業・資金調達・事業再生コンサルタント(2013/06/26 16:42)
銀行融資の資金調達コンサルタントの本日の業務予定 渕本 吉貴 - 起業・資金調達・事業再生コンサルタント(2013/06/04 09:27)
日本政策金融公庫の新創業融資制度:借入審査期間について 渕本 吉貴 - 起業・資金調達・事業再生コンサルタント(2013/05/12 12:45)
公庫で創業資金借入を断られてしまったら!(起業・開業借入コンサル) 渕本 吉貴 - 起業・資金調達・事業再生コンサルタント(2013/01/21 17:08)