- 岡松 高史
- 岡松教育進学研究所 代表
- 愛知県
- 家庭教師
対象:子供の教育・受験
前回は、「見直し」は、「見直すことを前提に、自分で試験時間を短縮して行うものではない」、あくまでも、充分に「慎重に丁寧に解いた結果」、「幸運にも時間に余裕が生まれたとき」に行うべきものだ、というところでお話しを終えました。
では、時間に余裕が生まれたら、どのように見直せば良いのでしょうか。
正しい、というか、効果的な「見直し」は簡単です。
「その1」で、「『見直し』で得点が『上がるか』『変わらないか』『下がるか』は偶然に左右されることが多い」とお話ししましたが、要はこのような「偶然に左右されない」ように「見直せば良い」のです。
そのためには、「何をどう見直すか」、「どんな順序で見直すか」を事前に決めておくこと、「見直すためにどんな準備をしておけばよいのか」を知り、作業をしておくことがポイントになります。
1 何をどう見直すか
これまでに受験した模擬試験をふり返り、どんなミスが多かったのかを調べます。
「その1」にも書きましたが、「漢字の書き取り」でトメ・ハネ・ハライが不明瞭なため×をもらうことが多かったのならそのチェックを(本来なら、書き取りの答えぐらいは丁寧に書く癖をつけておきたいのですが)。「本文中の言葉をぬき出して答える問い」で写し間違えることがよくあったのなら、そのチェックを(これも、直前期となる前に、利き手でない方の手の指で一字一字押さえながら写すようにしておきたいものですが)。あるいは、「本文の内容を読み取って、自分でまとめる記述の問い」で問いに合わせて答えを締めくくらなかったために減点されたことが多かった。たとえば、「~こと。」「~から。」の不備や、空欄の前後につながるように答えなくてはならないのにそうしなかった、答えの形が指定されていたのにその指示を守らなかったなどといったことです。そうしたミスが多かったのなら、その点のみに絞ってチェックします。
「見直し項目」を決める際のポイントは、「どんな子でも」「どんな精神状態の子」でも、「客観的に」チェックできる内容に限ることです。
「見直す」とは、「自分の解答を『他人の目』になって確認すること」です。ですから、お子さん自身が「他人の目になれること」に絞って「見直し」をさせるようにするとよいのです。
「記述の問い」の解答内容に不備はないかどうか、選んだ「選択肢」が本当に正しいかどうか、といった「内容面」については「これが正しい」という基準を子ども自身が持つことは不可能です。そんなものが持てるくらいなら、もうすでに満点です。にもかかわらず「内容面」にかかわる「見直し」をさせる、つまり、「何が正しのかといった基準」を持たないまま内容に踏み込んで「見直そう」とすると、「すべて誤っているように思えてしまう」などといった状態に陥る可能性があります。
ですから、子どもに「見直し」を指示するのは、子どもが見て(子どもが「考えて」ではありません。あくまでも「見て」です)、正しい正しくないの判断ができるものに限るべきなのです。
もし、どうしても「内容もチェックさせたい」と考えるならば、あとの「見直すためにどんな準備をしておけばよいのか」で詳しく説明いたしますので、その方法をご参照ください。
追記 「選択の問い」の見直しを否定するものではありません。子どもたちの中には「問題用紙に書き込んだメモでは、ウに○が付けてあるのに、解答用紙にはエと書いてしまった」といったミスをする子もよくいます。そんな子には「メモと解答を照合せよ」という指示を出してもかまわないのは当然です。これは、客観的に判断できますからね。
2 どんな順序で見直すか
何を見直すか、その項目が決まったら、それに優先順位をつけておきます。
もちろん、これまでにミスが多かった順にしますが、一番は「受験番号」のチェックでしょうか。ミスの多寡より、間違えては絶対にいけないことですから。
ですから、「まず、受験番号を確認し、次に○○をチェックし、それでも時間があったら○○をチェックし……」というように決めておきます。
それでも時間が余ったら、「机の上に腕を置き、そこに頭を載せて突っ伏してろ」と私は指示を出します。もともと、私は「ひとつひとつの問いに集中し、丁寧に解こう」と指示していますから、そこまで時間が余ることはまれだとは思っていますが、気力が充実する本番だといつもよりはやく解き終えることもあると思います(これは、私が、ひと月もふた月も前から「試験時間のマイナス5分で解け、マイナス10分で解け」なとど言う必要はないと思う理由のひとつでもあります。練習で2、3分足りなければ、本番はマイナス2、3分になると考えてよいと思います。受験後の子どもたちの話を総合すると)。事前に決めておいた項目のチェックを終えても解答用紙を見ていると、せっかく客観的に判断できる項目のみに絞ってあったはずなのに、ついつい「内容面」が気になり始めます。「内容面」に「敢えて」踏み込ませないためには、解答用紙を「見ない」こと、「見るな」と指示を出しておくことが一番です。といって、不用意にキョロキョロしていてカンニングを疑われてはいけないので、「突っ伏せ」という指示になるわけです。
次は、「内容面に踏み込んで『見直す』際』にポイントとなる「3 見直すためにどんな準備をしておけばよいのか」に移ろうと思いましたが、それを書くと1回のコラムの文字数を超えてしまいそうですので、新たに「答案の見直しって、子どもにできるの……? その4」を興すことにします。お手数ですが、そちらに移動して下さい。
とりあえず、ここまでが私の「オススメ」ですので、ポイントをおさらいしておきます。
それは、「『どんな子でも』『どんな精神状態の子』でも『客観的に』正しい正しくないを判断できる『見直し』項目を決め、それを『どんな順序で』チェックしていくのかも『事前に』決めておくこと」です。
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