「国語ができないから、算数の文章題も……」ってホント? その1 - 子供の教育・受験全般 - 専門家プロファイル

岡松教育進学研究所 代表
愛知県
家庭教師
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「国語ができないから、算数の文章題も……」ってホント? その1

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初めまして。岡松教育進学研究所 岡松です。

今度、出展いたしました。

私は、名古屋市を中心に愛知・岐阜・三重の東海三県で、国語専門(主に中学入試対策)の家庭教師として活動しているほか、入試問題・中高校入試対策問題集などの執筆、講演会の講師などをしております(詳しくは、プロフィールをご覧ください)。

このコラムでは、保護者の方からよく寄せられるご質問、ご相談にどのように回答しているかをお伝えしていきたいと思います。同様の疑問、お悩みをお持ちの方も多数いらっしゃるかと思います。解決の糸口になれば幸いです。

なお、掲載中の写真は、講演会の様子を写したものです。

まずは、「国語ができないから、○○もできない(○○の部分には、算数や理科、社会の文章題といった言葉が入ります)」というご相談に対するものです。

前述の通り、国語専門の家庭教師(私は、「家庭学習支援」という言葉を使っていますが、今回は世間に通りがよいように「家庭教師」という言葉を使います。どうしてこのような言葉を使っているのかは、いずれご説明する機会が持てるかと思います)もしていますが、国語「の」成績が芳しくないので指導を依頼したいというケースの他に、他教科も芳しくないのだが、まず、国語を何とかしたいとお考えの保護者の方がこのようなお言葉を口にされることが多いようです。

私自身も、以前に、「共通一次試験(現在の「大学入試センター試験」の前身)の総得点と最も相関関係が強いのは、小学2年生の国語の成績である」という研究結果を読んだことがあります(といっても、小学校1年生から高校3年生、大学入試センター試験まで継続して成績をチェックする調査なので、追跡するうちにどんどん調査対象者は減り続けるのは当然で(高校に進学しない子、大学に進学しても共通一次試験を受けない子が出てきますから)、最終的には、たしか数十人の成績から導かれた調査結果だったと思います。したがって、ある程度の目安にはなる、というものでしょうか)。

また、「国語はすべての教科の基本である」といった言葉も、巷間、よく耳にします(これを裏返して具体化したのが、今回表題として挙げた「国語ができないから、算数の文章題でつまずいてしまう」というものでしょうか)。

さて、「国語ができないから、算数の文章題も解けない」という考え方ですが、前半の「国語ができない」と後半の「算数の文章題も解けない」を「から(つまり、因果関係)」で結ぶのは誤りではないか、と思います。

ポイントは、言葉は意思伝達の道具であるだけでなく、思考の道具でもあるからだということです。

「言葉は、何のためにありますか?」と尋ねると、子どもたち(あるいは、大多数の大人も)の多くは人に何かを伝えるため、人から何かを伝えてもらうためと考えるようです。ですが、実は、ぼーっとしている時以外は、頭の中にさまざまな言葉が浮かんでは消えていっています。

たとえば、朝起きて「あーっ、よく寝た」「今日は、何曜だったっけな」「水曜か」「あっ、算数のテストじゃん」「でも、昨日ちゃんと勉強したからいいよな」など、いくら書いてもきりがありませんが、こんな風です。

これは、思考とは言えないだろうと思われるかもしれませんが、今、出てきた算数のテストの場面でも、「バスに、3人のお客さんが乗っていました。次の停留所で2人降り、4人乗ってきました。今、バスには何人のお客さんが乗っていますか。」という問いを読んで、「3人乗っていて、2人おりたのか。3人引く2人だな。解答用紙の〈式〉の欄に『3-2』と書いてと、答えは1だから、『=1』と書いて、次は、そこに4人乗ってきたんだから、1人足す4人だな、では『1+4』と書いて、答えは5だから『=5』と書いて、答えの欄に『5』と書いてと、オッと、自分で『人』も書くのか、危ない危ない、忘れるところだった』などど「言葉」を使って、考えているわけです。

「バス」「3人」「お客」「乗る」……といった言葉を読み、その言葉を使って考えていく、思考を進めていくのですが、思考を進めるためには、ただオウムのように読んだ言葉を繰り返すのではなく、その言葉の指す内容がわかっている、概念化ができている必要があります。簡単な例を挙げれば、「降りる」とはどういうことかがわかっているから「3人から2人を引けばよい」とわかるのであって、わかっていなければ、最初に乗っていた3人の「3」に対して次の「2人」の「2」をどうしたらよいのか、わかりません。

別に、お勉強にかぎりません、このコラムはとある喫茶店で書いているのですが、手元に本日(11月30日)付けの『毎日新聞』の朝刊があります(別に『毎日新聞』でなくてもよいのですが、ラックにこれしかありませんでしたので)。そこには「政府の東日本大震災復興対策本部は29日、首相官邸で会合を開き、復興・復旧の事業計画と工程表を改訂した。」という記事が出ています。これを理解するためには、「政府」「東日本大震災復興対策本部」「首相官邸」「会合」「開く」「復興」「復旧」「事業計画」「工程表」「改訂する」といった名詞・動詞の表す概念や「~は~で~を~、~の~と~を~」といった助詞が文の中でどのような働きを担っているのかが理解できている必要があります。そして、これらの知識を総動員したうえで、この一文の意味を理解し、「なぜだ?」「どうなるんだ?」などといった自分なりの疑問を持ち、その答えを探しつつ、記事を読み進めていくことになります。自分なりの見解に達することもあるでしょう。

長くなりましたが、言いたかったのは「私たちは、言葉を使ってモノを考えているのだ」という当たり前と言えば当たり前の事実です。と言えば「なあんだ」と思われるかも知れませんが、これはとても大切なことです。なぜなら、言い換えれば「知っている言葉、概念化ができている言葉の量、語彙(力・量)によって、その人が考えられることは決まってきてしまうのだ」ということだからです。

したがって、「概念化ができていない言葉、意味を知らない言葉が使われている文章、文の構造が取れていない文をふくむ文章は理解できず、そのような文章が問いになっている文章題は、算数に限らず、国語だって、理科だって、社会だって解くことはできない」ということだからです。

ここまでで、コラム1回分の文字数に達してしまいました。

「そうは言っても言葉を扱うのは国語なんだから、やっぱり……」とお考えの方、次回に続きます。しばらくお待ち下さい。

 

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(愛知県 / 家庭教師)
岡松教育進学研究所 代表

「子どもを思う」保護者に寄り添い、期待に応えるプロでありたい

公立学校教諭、大手予備校講師として25年。問題作成・問題分析のプロとして入試問題、問題集などを執筆し、進学・学習講演活会の講師を務めています。これらに裏打ちされた、指導方法、指導内容、アドバイスの「引き出し」の数、量、質には自信があります。

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