- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:新築工事・施工
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
住宅が人の住むところである以上・・
住宅で人が住むためには・・
住宅内には人が住み生活するために必要な設備が必要です。
ご飯を食べるために作ったり、排泄をしたり、身体を清潔にするために洗ったりするために。
設備的にはもちろん住宅設備機器などがもちろんなければなりません。
けれども、その設備の中で、本当に一番大事なところはそんな機器ではなく、それらに水や空気や電気などを送ったり排出したりするための、配管とか配線なんです。
配管や配線は建物の血管や神経です。
血管が切れると人間同様に住宅は病気になってしまいます。
手足が動かなくなり、つまり住設機器が使えなくなり、手術が必要になるのです。
しかし、配管や配線はそう簡単には変えられない。
そう・・
そして、そこも目に見えない所なのです。
本当の住宅設備というのは見えないところにあるのです。
見えない所の配管や配線は痛んだり傷ついたり不備があっても見えないので異常がわかりません。
ですから、突然水漏れしたり、漏電したりする。
見えない所は本当にしっかりと作っておく必要がある。
経年でも決して不備のでない材料の物にしておく。
あるいは、不良があったら簡単に交換できるようにしておく。
そう、しっかり作るためには・・
より良質な配管などにるのには・・
これにもそこそこお金がかかります。
お金には予算があります、決まっています。
割り振らなければならない・・
それを、住宅設備機器に使うのか、見えない所に使うのか・・
どちらに優先的に使うのか・・
ということになります。
もちろん両方に使えれば言うことはないのですが・・
家づくりにおいては、見えない所をどうするかが最も大事です。
しかし、何も特別なことを見えない所にすることがいい、などということだけではありません。
見えない所というのは、作る方から言うと、どうせ最後には見えなくなってしまうので適当な仕事になってしまうことが多い。
俺がやったんじゃないからと床下がゴミだらけのままとか・・
時間がないので壁中を濡れたままに施工とか・・
断熱材がちょっとだけ足りなくなって再発注が面倒なので重ねを減らすとか・・
めんどくさいので配線の束ねがないとか・・
疲れてきて配管の止めバンドの間隔がだんだん広がるとか・・
ちょっとしたこと・・
これが将来、住宅の性能を落とし、不都合を生む。
決してわざとやってるわけではない。
ちょっとしためんどくささだったり、疲れだったり・・
だから、ちょこちょこと監視をしましょう。
見てるよって・・
もちろん、そのために私達がいて現場監理するのですが・・
いない現場の方がはるかに多い。
にっこり笑って「コンニチワ!」と言いましょう。
何もしゃべらなくたっていいのです。
お施主さんがそこにいるだけで、作る方は気が張ります。
ゴミだらけの床下を俺がやったんじゃないから、なんてほっとけはしなくなるんです。
そして、作っている最中に・・
その完成すると見えなくなる部分を自分の目で見ておく。
見えない所は見える時に必ず見ておくのです。
どうなってるのか、わかりはしなくても知っておくこと。
そして記録しておくこと。
これは我々だってまったくいっしょです。
我々だって蓋されてしまったら中は見えません・・
だから見える時に見て確認し、記録しておきます。
後でもわかるように・・
見えない所を見えるように・・
自分がこれから一生住む家なのですから・・
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