- 福島 一隆
- 銀座トリニティデンタルクリニック 理事長
- 東京都
- 歯科医師
対象:インプラント・歯科口腔外科
- 河合 毅師
- (歯科医師)
- 河合 毅師
- (歯科医師)
サイナスリフト(インプラントのための上顎の骨再生)
上顎の奥歯と骨が無くなってしまった方には、
1:ショートインプラント(最小でも5ミリの骨が必要です)
2:上顎洞を避ける傾斜的埋入
3:上顎洞後部よりさらに後方への埋入
4:サイナスリフトによる骨造成
以上4つの手法によるインプラント治療が考えられます。それぞれ、長所短所があります。
今回は、その一つであるサイナスリフトについてお話したいと思います。
上顎の奥歯があった部位にインプラント治療をする際に、かなりの頻度で邪魔をするのが、上顎洞と呼ばれる空洞の存在です。一般的に、この部位の骨はかなり軟らかく、インプラントには不利ですが、上顎洞があるために、インプラントのために使える骨の高さも不足する場合が多いのです。結果として、軟らかい骨に対して、標準より短いインプラントを使わなくてはならなくなるので、治療の成功率はぐっと下がります。
そこで、サイナスリフトによる上顎洞内への骨再生を行うことで、標準の長さ、もしくはそれ以上の長さのインプラントが使用できるようになりますので、他の部位とほぼ同様のインプラント成功率となります。また、この手法は耳鼻科で以前採用されていた治療方法に基づいています。
結果として、この方法によってインプラント治療の適用範囲が飛躍的に拡大しました。
ところで、治療の上で共通することは、上顎洞の内側壁のメンブレンをしっかり剥離するという点ですが、GBR同様に、骨充填材の種類によって、再生した骨の術後の骨吸収量が大きく異なることや、充填材の使用なしでも骨再生するという報告もあり、細かい部分での治療方法は統一されていません。ですので、この分野での研究発表、臨床発表には目を離せません。そこで、毎年海外での研修に参加し、最新の情報を得る事にしています。
また、技術的にも決して簡単ではありませんし、耳鼻咽喉科との連携も必要になる高度な治療方法です。私はサイナスリフトを行う前に、上顎洞内の状態を確認の依頼、場合によっては術前治療の依頼をすることも珍しくありません。
現在、私は、充填材の使用を受け入れて頂けない患者様には、何も使用しないサイナスリフトを治療の選択肢のひとつに考えますが、世界でもこの分野をリードしているニューヨーク大学のリサーチデータと今までに5000症例以上行ったこの分野の第一人者の一人であるアメリカのワレス先生の治療方法に基づいて行っています。
サイナスリフトについての個人的な考えを最後に述べたいと思います。
この方法は造成骨が成熟する期間を待つために、一般的には6ヶ月以上の治療期間が必要ですが、噛み合わせ的には理想的な位置にインプラントを入れる事ができ、理想的な長さのインプラントを使用できるので、是非お薦めしたい治療方法です。
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