KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)第5回 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)第5回

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   米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(7)
      〜常識と長期間未解決であった必要性〜(第5回) 
   河野特許事務所 2010年3月3日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Perfect Web Inc.,
              Plaintiffs- Appellant,
                 v.
               InfoUSA Inc.,
               Defendant- Appellee.

 さらに、CAFCは繰り返し処理であるステップDは自明の試み(Obvious to Try)にすぎないと判示した。

 本発明の問題点は、マーケティングノルマである配信数量を満たすために大量の電子メールを送信することである。かかる問題を解決するための潜在的解決方法としては以下の3つが考えられる。
(1)送信を継続すること、すなわちノルマを満たすまで数多くのアドレスへ電子メールを送信し続けること、
(2)不達メッセージを受信した場合、成功を期待して同一アドレスへ再送信すること、
(3)新たなアドレスの新規グループを特定し、新たな特定先に電子メールを送信すること(ステップDに対応)。
 成功確立が高いのは明らかに(3)であり、クレーム1は「有限の特定された潜在的解決方法」の内の一つを試みたに過ぎない。最高裁はKSR事件において、 「有限の解決方法を試すことが、予期される成功を導くのであれば、それは革新(innovation)の成果ではなく、通常の技量及び常識の成果に過ぎない」と述べている。

 原告は、全てのパラメータを変える必要があった、または、多くの可能性ある選択肢のそれぞれを試す必要があった等の理由も立証できなかった。以上のことから、CAFCはステップA〜CにステップDを適用することは常識であり、クレーム1は自明であると判断した。

 争点2:長期間未解決であった必要性は存在しない
 2次的考察の一つである長期間未解決であった必要性が立証できれば、非自明と判断される可能性があるところ、本事件では原告は当該必要性を立証できなかったことからCAFCは、クレーム1は自明であると結論づけた。

 「長期間未解決であった必要性」を立証するためには、「発明がいつの時点から切実に感じられていたか」、「本特許によって、どのようにしてニーズを満たしたか」を具体的に裁判所に証拠として提出する必要がある。原告は単に「効率が良くなった」と主張するのみで、具体的な日時、並びに、マーケティングコスト及び時間の低減等の証拠を提示しなかった。


                                   (第6回へ続く)

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