KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)第7回 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)第7回

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   米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)
      〜公知要素の組み合わせとMPFクレーム〜(第7回) 
   河野特許事務所 2010年1月26日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Fresenius USA, Inc., et al.,
              Plaintiffs- Appellants,
                 v.
               Baxter International., Inc., et al.,
               Defendants-Cross Appellants.


5.結論 
 CAFCは、131特許のクレーム1が非自明と判断した地裁の判断を無効とした。一方、434特許のクレーム26については非自明と判断した地裁の判断を支持した。


6.コメント
 公知の要素がそれぞれ開示されている場合に、組み合わせ容易か否かがKSR最高裁判決の判示事項に従い判断された。無効とされた131特許の構成要件(a)「透析液送出システム」は透析液循環ユニットを群の一つとするマーカッシュ形式で記載されていた。そして、血液透析装置においては循環が必要であるとの証言、循環ポンプが存在していたことが原因で無効とされた。

 一方、透析液を送る(循環する)機能を果たす「透析液送出手段」はMPFクレームで記載されていた。434特許は、機能的に131特許の透析液送出システムと同様でありながら、先行技術中に、対応するマイクロプロセッサ及びステッピングモータが開示されておらず、構造分析のもと特許は有効と判断された。同様のアイデアでありながらクレームの記載形式により自明性の判断が相違する点は参考となる。MPFクレームも他の形式のクレームと共に含めておくことは権利安定性の観点から望ましいといえる。

 なお、本事件においては永久差し止めの適否も問題となったが、CAFCは地裁がeBay最高裁判決で示された4要素を適切に判断したと認め、特許有効と判断された434特許については永久差し止めを認めた。
                                   (第8回へ続く)

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