- 杉山 淳子
- 株式会社アイロベックス
- ITコンサルタント
対象:システム開発・導入
- 清水 圭一
- (IT経営コンサルタント)
- 清水 圭一
- (IT経営コンサルタント)
企業の成長は、現場のシステム化意識でわかる。
「アイロベックスは、どんなシステムに特化しているんですか?」とか、「どんな業種に特化しているんですか?」とよく聞かれることがありました。
正直、これは長い間わたし自身にとっては、きつい質問でした。
なぜなら、自分では「販売管理」が一番得意である、と思っていたのですが、販売管理というのはあまりにも包括的、一般的な名前であるようで、かつ、簡単なシステムであると自分で勝手に卑下して考えていたのです。
しかし、よく考えると販売管理をスクラッチで(手組み)作ることを長くやってきたことが、結局は自分のシステム設計の基本になっていることも確かです。
販売管理をスクラッチで作るということは、ちょっと特殊な業種だったり、在庫が複雑であったり、BtoBだけでなく、BtoCであったりと、常に何か例外的な構造、仕組みを求められるシステムを作ってきたということでもあるのです。
このように様々なシステムに携わってくると、各社のビジネスモデル的な部分はともかくとして、設計思想においては、自分なりの設計マインドといったものが確実に育ってきます。
そしてシステム設計をするということは、「業務そのものを設計すること」であり、「運用のやり方」を設計することであると思い至るようになりました。
つまり、システムを設計するには、その企業の業務そのものを、とことん理解して、かつ、その1つ1つの意味や目的さえも聞き込む必要があるわけです。
だからこそ、できれば、その会社内で「一番よく、業務を知っている人」つまり「その仕事が出来る人」になるべく具体的に教えを請いたいと思うのです。
仕事が出来る人であれば「もっとこうしたい」「もっと無駄を失くしたい」「もっと正確な情報を早く取りたい」という思いを必ず持っているはずなのです。
それができれば、SEは、1つ1つの処理の状況や目的をヒアリングしながら、ITを使って出来ること、出来ないことを説明し、適切な運用のアドバイスが出来るというものです。
つまり、業務システムをより良い結果を生むシステムにするためには、企業でその仕事が一番出来る人=精通している人、その仕事に一番思いがある人の参加が必要なのです。
そういう人は、一番の稼ぎ頭であったり、社長であったりするのかもしれません。
スーパースターの知恵を共有化し、ナレッジ化することがシステムの開発、そして業務改革には常に求められているのです。
するとSEは、様々な企業のスーパースター達と常に接していることになります。
時には、Aという会社の業務の知恵が、Bという会社や他の会社にも共通に使えることも大いにあるわけです。
これが業務システムを設計して開発、納品していく上でのキャリアの強味であり、醍醐味であるともいえるでしょう。
成長している会社というのは、トヨタのカイゼンと同様に、現場が常に意識高く、次のシステムを狙っている会社だということは、しみじみと感じています。