1 本店所在地とは
本店所在地とは、会社の住所です。
会社の登記簿謄本に記載される「本店所在地」は、
人間でいえば住民票に記載される「住所」に該当します。
2 本店所在地の記載に関する決まり
本店所在地の決め方には、特に決まりなどはありません。
ただ、記載方法については以下の決まりがあります。
登記申請書 → 番地まで正確に記載する必要があります。
定 款 → 最小行政区画まで記載してあれば大丈夫です。
※「東京都新宿区」「大阪府大阪市」など
本店移転登記の際、手数料(登録免許税)が必要ですが、
管轄内の場合→3万
管轄外の場合→6万
となっています。
定款に番地まで定めた場合、同一管轄区域内であっても、本店移転は
「定款変更」となり、登記申請書の添付書類として株主総会議事録が
必要となります。
その為、定款には最小行政区画までしか記載しないという方法も多く
見受けられます。
3 本店所在地の一般的な決め方
通常は、本店所在地は、実際に事業を行う拠点を本店所在地とするこ
とが一般的です。
ただ、自宅や実家を本店所在地にしても、原則として問題はありませ
ん。
また、友人等と同一のオフィスをルームシェアしても問題はありませ
ん。
現在、新会社法により、同一所在地に同一の会社名(商号)でなけれ
ば、登記申請も問題なく行えるようになりました。
さらにいうと、一般に使用されている「本社」とは意味が違いますの
で、本社と本店の場所が異なっても全く問題はありません。
※ちなみに、会社法や商業登記法に「本店」という用語はありますが、
「本社」という用語はありません。
ただし、注意すべき点もあります。
設立後の税務署や社会保険事務所への諸手続き、
および各種の許認可の申請、などは
本店所在地を管轄する官公署に行う必要があるということです。
また、民事訴訟(裁判)なども、特に定めがなければ、原則として
原告または被告の本店所在地を管轄する裁判所、ということになって
います。
4 賃貸物件の場合
本店所在地となる場所が賃貸物件の場合は、貸主の承諾をとっておいた
方が良いです。
そして新規に契約をする場合も、事業目的での使用であることについて
承諾をとった上で契約をして下さい。
そうでないと、あとで賃貸借契約違反の目的外使用として、契約の解除
を主張されるなど、面倒なことになってしまうおそれがあるからです。
また、自宅を本店所在地とする場合、マンションであれば管理規約で法
人の本店として登記することが禁止されていないかを確認しておいた方
がよいです。
なお、自宅が賃貸アパートや賃貸マンションで自宅と事業所が別な場合
、法人化した後に、借りている自宅の借主を法人に切り替えることが出
来れば、役員社宅として家賃の50%〜80%を法人の必要経費にする
ことが可能です。
借りる際に「賃貸借契約書」にその旨の特約を付記してもらえるか、相
談されてみるといいかと思います。
5 特殊な決め方(決定方法)
本店所在地の決定方法として、なかには、利用したい助成金・補助金の
制度を有する地方公共団体や、利用したい融資制度を有する信用金庫な
どの管轄する地区に所在地を置くケースもあります。
さらには、創業者が、出身地や行う事業の盛んな土地にあやかる場合もあるようです。
以上、本店所在地の決定に関して必要な情報を提供させて頂きましたが、これが、読ん
で頂いた方の決定に関して、少しでもお役に立てられるようであれば、幸いです。