違法な特許出願の回復が無効理由となるか(第1回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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違法な特許出願の回復が無効理由となるか(第1回)

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違法な特許出願の回復が無効理由となるか(第1回)
〜特許無効の抗弁事由〜  河野特許事務所
米国特許判例紹介(第18回)
Aristocrat Tec. et al.,
Plaintiffs-Appellants,
v.
International Game Tech. et al.,
Defendants-Appellees.
                       
                       2008年12月16日 弁理士 河野 英仁
                
 
1.概要
 日本の特許権侵害訴訟における被告は対抗手段として特許無効の審判を特許庁に対し請求することができるほか、裁判所においても特許の無効を抗弁として主張することができる。平成16年改正法により新設された日本国特許法第104条の3は以下のとおり規定している。
日本国特許法第104条の3
「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。」

 そして、無効理由は日本国特許法第123条各号において限定的に列挙されている。これは特許法第123条各号に掲げる理由以外は無効であるとして主張できないことを意味する。例えば、出願の単一性(日本国特許法第37条)違反等は形式的瑕疵にすぎないことから特許の無効理由とならない。

 米国においては日本と同じく裁判所において特許の無効を抗弁として主張することができる。日本国特許法第123条に類する規定として米国には米国特許法282条が存在する。後述するように米国特許法第282条は、日本国特許法第123条各号の如く、米国特許法の内どの条項が無効理由の根拠となり得るか明確に規定していない。

 本事件においては、PCT国内移行の際、国内移行費の未払いにより特許出願はいったん放棄された。出願人は、当該未払いは、「故意でない遅延」に該当するとの嘆願書を提出し、出願を回復させ審査を経て特許を取得した。この回復の際、未払いが不可避であったことを示す証拠を出願人は提出しなかった。

 本特許に基づく特許権侵害を主張された被告は、不適切な回復があったとして特許無効の抗弁を主張した。地裁はこの不適切な回復は、米国特許法282条(2)または(4)に規定する無効の抗弁事由に該当すると判断した1。控訴審においては、この不適切な回復が無効の抗弁事由となるか否かが争われ、CAFCは無効の抗弁事由とならないと判断した。


  

(第2回につづく)
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