- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
たかが階段されど階段・・4
美しい階段というのは本当に絵になります。
みていると惚れ惚れとしてしまう・・
私などは若い頃・・
故・村野籐吾先生の階段などをいくつもいくつも見て歩いた物です。
箱根プリンスホテルの階段とか・・
日比谷の日生劇場の階段とか・・
凄いよ。
あのカーブはどうやって出すんだろう?
どうやってこの手摺りを作っているんだろう?
建築の専門書などでも階段のデザインや階段の納まりや造り方や階段の写真集なんてのまで星の数ほどあります。
階段だけを扱った本・・
それだけ階段は絵になる・・
そして階段は難しい。
階段は細かい材料をたくさん組み上げて造る構造物です。
しかも階段はその上を荷物を持った人間が一日に何度も何度も踏みしめて行き来します。
階段を造ることは非常に難しいのです。
つまり設計も難しい・・
なので昨今の住宅メーカーや普通の注文住宅や建売住宅の階段ってのは・・
実はそのほとんどがユニット階段です。
階段メーカーが工場で作った階段のセット!
それを持ってきてくっつけるだけ。
どんなにお洒落に見えても・・
全部既製品。
まあ見る人が見れば一目でわかります。
別段その方が安いというわけでもないのですが・・
ようするその方が造るのが楽なのです。
楽に機能性も安全性も耐久性も問題のない階段が出来る。
いや~
面白くないね!
美しい階段は望むべくもないね。
みんな比べたことがないだけで全部いっしょだしね。
美しい階段を造りたいのさ!
ただ・・
いくら美しくても上りにくい階段や安全性の低い階段は問題外です。
階段はあくまでも上下階を移動するための物でその機能を阻害してはいけない。
階段は高いところに上るための物ですから絶対に落ちる危険があってはいけない。
階段は避難のためのルートですからどんなときでも絶対に壊れてはいけない。
難しいからこそうまく出来ると美しい。
つまり階段の美しさというのは「用」のデザイン極みといえます。
ということは・・
階段というのはその建築そのものを表しているとも言えます。
階段が美しければ・・
その建物は絶対に美しいのです。
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よもやま建築日記~家づくりの現場から~
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