譲渡所得の意義・帰属年度、租税判例百選42事件 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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譲渡所得の意義・帰属年度、租税判例百選42事件

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相続

譲渡所得の意義・帰属年度、租税判例百選42事件
 所得税課税金額に対する更正決定取消等請求事件
 昭和47年12月26日  最高裁第3小法廷 判決
 棄却、 民集 第26巻10号2083頁
【判示事項】
 1、譲渡所得に対する課税の趣旨
2、不動産の売買において代金の支払が長期の割賦弁済による場合と譲渡所得の帰属年度
【裁判要旨】
 1、譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者から他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものと解すべきである。
2、甲所有の不動産が、代金の支払は長期にわたる割賦弁済による約定のもとに、乙に売り渡された場合であっても、売買契約の成立当日所有権移転登記が経由され、当該不動産の所有権が確定的に乙に移転したときは、甲につき、譲渡所得の全部が右契約(登記)の日の属する年度に発生したものとして、これに対する課税をすべきである。
【参照法条】
 旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条1項8号,旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条1項
【解説】
上記判例の前提として、判例は、権利確定基準を採用している。

所得税法違反被告事件
昭和40年9月8日最高裁第二小法廷  決定
 棄却、 刑集 第19巻6号630頁
【判示事項】
 一 売買代金債権が所得税法第10条第1項後段にいう「収入すべき金額」となる時期。
二 いわゆる解約手附として受領した金額は右の「収入すべき金額」に当るか。
【裁判要旨】
 一 売買代金債権は、法律上これを行使することができるようになったときに、所得税法第10条第1項後段にいう「収入すべき金額」となる。
二 いわゆる解約手附として受領した金額は、そのままでは、右の「収入すべき金額」に当らない。
【参照法条】
 所得税法10条1項,所得税法9条1項4号

所得税更正決定取消請求事件
昭和40年9月24日 最高裁第二小法廷 判決
 棄却、 民集 第19巻6号1688頁
【判示事項】
 第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられた場合における求償権の取立不能と譲渡所得の成否。
【裁判要旨】
 第三者の債務の担保に供された抵当不動産が競売に付せられ競落代金が納付された場合には、求償権が事実上取立不能であっても、譲渡所得は成立する。
【参照法条】
 所得税法9条1項8号

 現行の所得税法65条では延払条件付販売等についての収入・費用の帰属時期を定めている。
また、現在は、棚卸資産であって一定の場合の所得税額の延納には、延払条件付譲渡の特例(所得税法132条)がある。

(延払条件付販売等に係る収入及び費用の帰属時期)
第六十五条  居住者が、延払条件付販売等に該当する棚卸資産の販売若しくは工事(製造を含む。)の請負又は役務の提供(次条第一項に規定する長期大規模工事の請負を除く。以下この条において「資産の販売等」という。)をした場合において、その資産の販売等に係る収入金額及び費用の額につき、その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の日の属する年以後の各年において政令で定める延払基準の方法により経理したときは、その経理した収入金額及び費用の額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。ただし、当該資産の販売等に係る収入金額及び費用の額につき、同日の属する年の翌年以後のいずれかの年において当該延払基準の方法により経理しなかつた場合は、その経理しなかつた年の翌年分以後の年分の事業所得の金額の計算については、この限りでない。
2  居住者が、第六十七条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース取引による同条第一項に規定するリース資産の引渡し(以下この条において「リース譲渡」という。)を行った場合には、前項の規定にかかわらず、その対価の額を政令で定めるところにより利息に相当する部分とそれ以外の部分とに区分した場合における当該リース譲渡の日の属する年以後の各年の収入金額及び費用の額として政令で定める金額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。
3  第一項に規定する延払条件付販売等とは、資産の販売等で次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われるもの及びリース譲渡をいう。
一  月賦、年賦その他の賦払の方法により三回以上に分割して対価の支払を受けること。
二  その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が二年以上であること。
三  その他政令で定める要件
4  第二項の規定は、リース譲渡の日の属する年分の確定申告書に同項に規定する収入金額及び費用の額として政令で定める金額の総収入金額及び必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
5  税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第二項の規定を適用することができる。
6  第一項の規定の適用を受ける居住者が死亡し又は出国をする場合における同項に規定する延払条件付販売等に該当する資産の販売等に係る収入金額及び費用の額の処理の特例その他同項又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納)
第百三十二条  税務署長は、居住者が山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡をした場合において、次に掲げる要件のすべてを満たすときは、第一号に規定する申告書に係る第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定により納付すべき所得税の額(延払条件付譲渡に係る税額が当該所得税の額に満たない場合には、その延払条件付譲渡に係る税額)の全部又は一部につき、その者(その相続人を含む。)の申請により、五年以内の延納を許可することができる。
一  その延払条件付譲渡をした日の属する年分の所得税に係る第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書(第百二十六条第一項(確定申告書を提出すべき者が出国をする場合の確定申告)の規定に該当して提出すべきものを除く。)又は第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定による申告書をこれらの申告書の提出期限までに提出したこと。
二  延払条件付譲渡に係る税額が前号に規定する申告書に記載された第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額の二分の一に相当する金額を超えること。
三  延払条件付譲渡に係る税額が三十万円を超えること。
2  税務署長は、前項の規定による延納の許可をする場合には、その延納に係る所得税の額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その延納に係る所得税につき、その額が五十万円以下で、かつ、その延納の期間が三年以下である場合は、この限りでない。
3  第一項に規定する延払条件付譲渡とは、次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われる譲渡をいう。
一  月賦、年賦その他の賦払の方法により三回以上に分割して対価の支払を受けること。
二  その譲渡の目的物の引渡しの期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が二年以上であること。
三  その他政令で定める要件
4  第一項に規定する延払条件付譲渡に係る税額とは、同項第一号に規定する申告書に記載された第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額のうち、その延払条件付譲渡に係る契約において定められている支払の期日がその年の翌年以後に到来する延払条件付譲渡に係る賦払金の額(その年において既に支払を受けたものを除く。)の合計額に対応する山林所得の金額又は譲渡所得の金額に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。