- 吉田 武志
- 有限会社 ヨシダクラフト 代表取締役社長
- 栃木県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
http://www.yoshidacraft.net
日経ホームビルダー2014年5月号の記事。
「軒ゼロ住宅」が抱える5つの雨漏りリスク。
「軒ゼロ住宅」とはこんな感じの住宅。
壁から屋根が出っ張っていない住宅です。
皆さんの近所に建っている住宅にも少なからず見られる形の建物だと思います。
道路から見るとBOXのように見える住宅が多いです。
軒ゼロ住宅の中には、屋根勾配の緩い住宅も多いです。
写真は分かりやすい「軒ゼロ住宅」の例として使用させていただきました。
もちろん、この建物が雨漏りするという事ではないです。
BOX型のボリュームのあるカタチは、シンプルモダン、ミニマルに見えるので、
建築家、設計事務所が設計した建物に多い。
自分の設計した家が全て「軒ゼロ住宅」だという設計者もいらっしゃるような気がします。最近は、それらをマネした工務店の設計施工物件も多く見られます。
しかし、ここは日本。
普段、雨も多いし、台風シーズンもあります。
外壁から屋根が出ていないので、外壁に雨の掛かる面積が大きな住宅です。
建物形態に起因する自然の摂理ですね。
で、当然、外壁からの漏水リスクが高い。
人間が、雨の中で傘を差さずに立っていたら濡れますよね。
それと一緒です。
詳しく記事に書いてあります。5分で読めます。
聞けば当たり前の話なのですが、家を新築、リフォームする方は読んだほうがいいです。
今回は、「記事に書いてない。2つの軒ゼロ住宅、フラット屋根住宅のリスク」を書きます。
まずは1つ目。
「フラット屋根住宅」は屋根に降った雨水の水キレが悪く、落ち葉や砂等のゴミも溜まりやすい。きちんと勾配の付いた屋根に比べると屋根材の傷みが早いです。
傷みが早いということは、リフォーム回数が増えてお金がかかるということ。
ちなみに、屋根勾配の付いている「軒ゼロ住宅」は屋根の傷みは当然少ないです。
2つ目は、外壁を解体するようなリフォーム工事をした場合。
屋根がないので、リフォーム期間中は特に漏水リスクが高まるということ。
例えば、増築やユニットバスの交換等で外壁を壊した時に雨が降ってきたら、
屋根がないので、ブルーシート等で覆っても水の浸入を防ぐのは困難なのです。
壁に穴が開いているのですから。
細かいリスクは他にもあると思います。
私も「軒ゼロ住宅」を建ててみたいのですが、これが出来ない理由です。
「軒ゼロ住宅」は「ずるむけハウス」とも言うらしいです。
ヨシダクラフト