- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
夫婦の所得の課税
・最高裁昭和36年3月6日、判例百選30事件、課税単位
夫婦の所得については、2分2乗方式は許されない。「2分2乗方式」とは、夫名義で得た所得を半分にして、半分を妻の所得として、各自に所得税法の税率を乗じる方式である。累進税率の制度では、所得税額を軽減できる。民法は、夫婦別産制を取っており、夫名義で得た財産は夫の所得となるからである。そして、他に、(離婚の場合は)財産分与請求権、(死別の場合には)相続権、(それ以外にも)扶養請求権が認められているから、夫婦別産制を採っていても夫婦の実質的平等は保たれている。
・夫婦財産契約と所得の帰属、判例百選31事件
夫婦財産契約は、対外的に、所得の帰属を決めるものではない。
・最高裁平成16年11月2日、所得税法56条の適用範囲、判例百選32事件(弁護士夫婦事件)
個人事業者(弁護士)が、生計を一にする配偶者(弁護士)に対して報酬を支払った場合、たとえ、当該配偶者が別に独立して事業(弁護士)を営んでいる事業者であっても、所得税法56条の例外は所得税法57条であるから、所得税法57条の例外(青色事業専従者または事業専従者の控除)に該当しない限り、所得税法56条の文理解釈により、事業所得の必要経費とすることはできない。
同旨、最高裁平成17年7月5日、弁護士・税理士夫婦事件。
これらの判例については、共稼ぎ夫婦に不利であるという批判がある。