インサイダー取引のバスケット(包括)条項 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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インサイダー取引のバスケット(包括)条項

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相続

インサイダー取引のバスケット条項
(証券取引法違反被告事件)日本商事・新薬副作用事件
最高裁判所第3小法廷判決平成11年2月16日
刑集53巻2号1頁、『金融商品取引法判例百選』60事件

【判示事項】 新薬に関する副作用症例の発生が証券取引法(平5法44号改正前)166条2項2号イに該当し得る面を有していてもなお同項4号に該当する余地が否定されないとされた事例

【判決要旨】 新薬発売直後の死亡例を含む重篤な副作用症例の発生は、当該新薬が医薬品の卸販売では高い業績を挙げていたものの製薬業者としての評価が低かった会社において多額の資金を投じ実質上初めて開発し、有力製品として期待していたものである上、同社の株価の高値維持にも寄与していたものであるなどの事情の下では、証券取引法(平5法44号改正前)166条2項2号イ所定の損害の発生に該当し得る面のほか、右新薬に大きな問題があることを疑わせて、今後その販売に支障を来たすのみならず、同社の特に製薬業者としての信用を更に低下させて、今後の業務の展開及び財産状態等に重要な影響を及ぼし得るという、同号イによっては包摂・評価され得ない面をも有する事実であって、これにつき同項4号の該当性を問題にすることが可能であり、前者の面があるとしてもそのために同号に該当する余地がなくなるものではない。

【参照条文】 証券取引法(平5法44号改正前)166項

 一 本件は、皮膚科の開業医である被告人が、かねて取引のある薬品販売会社であるT社の従業員から、日本商事株式会社(主として医薬品の卸売業を営み、大阪証券取引所第2部に株式を上場していた会社であり、T社との間で医薬品の販売取引契約を締結していた。)が開発、製造して発売を開始したばかりの帯状ほう疹の治療薬であるユースビル錠(物質名ソリブジン)について、抗がん剤であるフルオロウラシル系薬剤との併用に起因するとみられ、死亡例も含む重篤な副作用症例が発生したという情報を伝えられると、その情報が公表される前に、日本商事株を信用売りしたとして、証券取引法のインサイダー取引禁止規定の違反により、公訴を提起されたという事案である。
 二 本件については、一審以来、種々の法律上、事実上の問題が争われてきたが、本判決は、インサイダー取引規制の前提となる会社の「業務等に関する重要事実」(証券取引法166条1、2項参照。 以下「重要事実」という)の意義に関する証券取引法の規定の解釈について、重要な判断を示している。
 すなわち、重要事実の意義については、証券取引法166条2項(なお、本件については、平成5年法律第44号による改正前の同条が規定するところによることになる(同法律附則4条、平成5年政令第297号参照。 以下同様である。)が具体的に規定している。元来、証券取引法166条は、昭和63年法律第75号による証券取引法の改正で190条の2として新設された規定に由来するが、右190条の2等のインサイダー取引の規制・処罰規定を設けるに当たっては、規制・処罰の範囲があらかじめ行為者にとって明確であるよう、構成要件の客観化、明確化に特に配慮されたことが立法関係者等によってもつとに強調されている(横畠裕介『逐条解説インサイダー取引規制と罰則』16頁、河本一郎「インサイダー取引をめぐる最近の諸問題」インベストメント48巻4号3頁等。
右立法の前提となった証券取引審議会の報告も、この趣旨を強調していた。(同審議会報告「内部者取引の規制の在り方について」ジュリ905号106頁参照)。
 重要事実に関する規定の仕方をみても、証券取引法166条(右立法当時の190条の2も同じ)の2項は、1号から3号(個別列挙条項)までにおいて、各種の事実の類型を具体的に列挙するという形で規定している(なお、1、2号の規定中には、重要事実の指定を更に政令に委任している部分もあり、これを受けて証券取引法施行令28条、29条が具体的な事実を更に列挙している。)。また、1、2号所定の重要事実については、「投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして大蔵省令で定める基準に該当するものを除く」と、要するに、大蔵省令の定める基準(軽微基準)を上回ることが必要と規定されているが、これを受けて、会社関係者等の特定有価証券等の取引規制に関する省令(以下「取引規制省令」という。)1条の2、2条が各事実ごとに具体的な数値基準を示す形で軽微基準を定めている。
一方、3号の重要事実については(「投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして大蔵省令で定める基準に該当するものに限」り重要事実に当たると規定されており、これを受けて、取引規制省令4条がやはり具体的な数値基準の形で右の基準(重要基準)を定めている。
このように、1号から3号までの各事由については、関係の政省令ともあいまち、極めて具体的客観的な形で重要事実を個別列挙しようとされていることが明らかであり、これは、立法関係者の前記意図を反映したものであると考えられる(横畠・前掲17頁等)。
 しかし、他方、証券取引法166条2項は、このように1号から3号までにわたって極めて具体的客観的に重要事実に当たる諸事実を個別列挙した後、4号で、「前3号に掲げる事実を除き、当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」という、包括(バスケット)条項を設けている。
本件では、この4号の意義、殊に4号と1号から3号までとの関係が重要な問題点になった。
 三 すなわち、本件において、検察官は、ユースビル錠による本件副作用症例の発生という事実は、証券取引法166条2項4号所定の重要事実に該当すると主張して、公訴を提起した(同条3、1項参照)。
罰則は同法200条6号(現在は198条15号))。
 一審判決(大阪地判平8・5・24判時1609号153頁)も、本件副作用症例の発生が166条2項4号の重要事実に当たることを認めて、被告人に有罪(罰金30万円)を言い渡した。
ただし、一審判決は、本件副作用症例の発生が同項2号イ所定の「災害又は業務に起因する損害」の発生に該当するか否かという検討をまず行い、右症例の発生により日本商事には各種の損害が生ずることが予想され、これは2号イ所定の損害に当たると解されるとしても、本件の証拠上右損害が前記軽微基準を上回るとはにわかに断定することができないから、結局本件について同号イに該当する重要事実は認められないと判断している。
そして、一審判決は、このように2号イの該当性を否定した後、次に本件副作用症例の発生が4号に該当するか否かを検討すると説示して、同号の該当性の検討に進み、同号の該当性は肯定するという判断の仕方をしている。
 一審判決に対しては被告人が控訴したところ、原審は、一審判決には証券取引法の解釈適用の誤りがあるとして、破棄差戻しの判決をした(大阪高判平9・10・24判例タイムズ965号92頁)。
原判決は、前記のような立法の趣旨等を指摘した上、4号はインサイダー取引規制の構成要件をできる限り客観的かつ明確に規定するとの大きな枠組みの中で、あくまで補充的・補助的規定として設けられたものとみるべきであって、1~3号に掲げられた重要事実以外の事実についての規定であるとし、1~3号に相応する事実ではあるが、同時に又は選択的に、投資判断に著しい影響を及ぼすものとして4号にも該当するということはないと説示している。
その上で、原判決は、本件副作用情報は、2号イにいう「災害又は業務に起因する損害」に該当する余地があるから、一審判決が同号イの該当性をまず検討しているのは是認できるが、証拠上その損害が所定の軽微基準を上回るとは断定できないという理由により同号イの該当性を否定した上で更に4号の該当性を検討するという判断手法は、1~3号と4号との前記関係からして誤りであり、損害が軽微基準を上回るかどうか証拠上断定できないのであれば、この点の審理を尽くすべきであったという判断を示している。
このように、原判決は、一審判決には証券取引法166条2項2号イ及び4号の解釈適用の誤りがあるとして一審判決を破棄し、一審で予備的にでも訴因の変更を促して2号イの該当性について審理を尽くさせるため、本件を一審に差し戻す旨の判断をした。
 この原判決に対しては、被告人から上告の申立てがあったほか、検察官から上告受理の申立て(刑訴法406条、刑訴規則257条)がされたが、最高裁第3小法廷は、平成9年12月5日、検察官の右申立てを受理する決定をした上、本判決により、検察官の主張をいれて、原判決を破棄し、本件を大阪高裁に差し戻す判断をしたものである。
 四 本判決は、まず、本件副作用症例の発生という事実は、被害者らに対する損害賠償の問題を生ずる可能性があるなどの意味で、証券取引法166条2項2号イ所定の「災害又は業務に起因する損害」が発生した場合に当たることは否定し難いと説示している。
 しかし、本判決は、一審判決によれば、本件副作用症例は、従来医薬品の卸販売では高い業績を挙げていたものの製薬業者としての評価が低かった日本商事が、多額の資金を投じて準備した上、実質上初めて開発し、その有力製品として期待していた新薬であり、同社の株価の高値維持にも寄与していたユースビル錠について、その発売直後に発生したものであり、その内容も、同錠を投与された患者らに、同錠による副作用とみられ、死亡例も含む重篤な症例が発生したというものであったという事情が認定されていることを指摘している。
そして、本判決は、これらの事情を始め、日本商事の規模・営業状況、同社におけるユースビル錠の売上げ目標の大きさ等、一審判決が認定したその他の事情にも照らすと、本件副作用症例の発生という事実は、日本商事が有力製品として期待していた新薬であるユースビル錠に大きな問題があることを疑わせ、同錠の今後の販売に支障を来すのみならず、日本商事の特に製薬業者としての信用を更に低下させて、同社の今後の業務の展開及び財産状態等に重要な影響を及ぼすことを予測させ、ひいて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼし得るという面があって、この面においては同号イの損害の発生としては包摂・評価され得ない性質の事実であるというべきであり(また、1号から3号までが挙示するその他のいずれの事由にも該当しない。)、これについて4号の該当性を問題にすることができると判示する。そして、本判決は、そうである以上、本件副作用症例の発生は、2号イの損害の発生に当たる面を有するとしても、そのために4号に該当する余地がなくなるものではないと解すべきであり、これが同号所定の重要事実に当たるとして公訴が提起されている本件の場合、前記のように2号イの損害の発生の問題としては評価されない面のあることを裏づける諸事情があることを認めた本件の一審裁判所は、端的に4号の該当性を審理判断することができたのであり、これに先立って2号イの該当性を審理判断する必要があったのではないと判示している(前記のように一審判決が本件副作用症例の発生による損害と軽微基準との関係について言及しているのは、この意味で必ずしも必要がない判断であったということになろう。)。 本判決は、以上のように説示した上、原審としては前記諸事情に関する一審判決の認定の当否について審理を遂げて、本件副作用症例の発生が4号所定の重要事実に当たるか否かを判断すべきであったのであり、それにもかかわらず、前記のような理由で一審判決を破棄して差し戻した原判決には、4号の解釈適用に関する誤りがあるとし、原判決を破棄して本件を原審に差し戻す判断をしている。
 五1 これまで、証券取引法166条2項4号の意義等について触れた最高裁の判例は存在しない。
下級審の裁判例としても、本件日本商事事件を別にすれば(なお、日本商事事件では、本件被告人以外にも相当数の者について4号に基づき公訴が提起されたが、略式命令により処理されている。)、いわゆるマクロス事件に関する東京地判平4・9・25判例タイムズ814号237頁がある程度である。
このマクロス事件は、機械工業会社の専務取締役であった被告人が、臨時取締役会で、社長から、同社の営業活動の中心である電子機器部門に約40億円の売上げの架空計上があり、約30億円の営業資金不足が生ずるほか、電子機器部門の売上げの大半を挙げていた常務取締役の所在が不明であるなどの報告を受けて、自社株を売り付けたというものであるが、同判決は、3号の該当性を主張する主位的訴因及び第1次予備的訴因を排斥した上、「この事実は、……3号に掲げられた業績の予想値の変化として評価するだけでは到底足りない要素を残しており、(かつ1、2号のいずれの事由にも当たらないし。)その事実の重要性においても、投資者の判断に及ぼす影響の著しさにおいても、……1~3号に劣らない事実と認められるから、かかる事実は……4号に該当するものと解するのが相当である。」などと判示し、第2次予備的訴因を採用して、4号の該当性を認めた。
もとより、本件とは事案を異にするが、1~3号と4号との関係等について示唆するところの多い事案であるといえよう。
 2 学説をみると、前記の立法経過等も反映してか、4号の重要事実については、「今後の経済、証券市場の発展、変化に対応してすべての事項をあらかじめ列記することはきわめて困難であることから、将来インサイダー取引規制に抜け穴が生じないようにするために、規定され」たと、要するに、少なくとも前記昭和63年法律第75号の立法時点においてはその活用があまり予定されていないかの趣旨を述べる学説もある(証券法制研究会『逐条解説証券取引法』760頁等)し、これと同旨の説示は本件原判決の中にもみられるところである。
 しかし、他方、4号の適用可能性については、右立法の時点から、種々の事例を挙げて学説上議論がされてきたこともうかがうことができ(太田昭和監査法人『インサイダー取引の防止と回避』32頁、証券取引法研究会「証券取引法の改正について(3)」インベストメント42巻1号64頁、永野義一「インサイダー取引の禁止(二)」研修531号79頁等)、その中では、主要製品についての重大な欠陥の発生のようなものも4号の対象になるとの指摘もされていた(前記証券取引法研究会における神崎克郎教授の発言(インベストメント42巻1号65頁)等参照)。
一般的にも、前記立法がされた当時、神崎教授は、4号は重要事実を具体的に列挙することによって生ずる潜脱を防止するための規定であり、1~3号の重要事実の基準に相当するほどに重要であり、確実であり、影響度が大きいものは4号に該当するという趣旨の見解を述べ(証券取引法研究会「証券取引法の改正について(1)」インベストメント41巻5号37頁)、特に近時は、4号の独自の意義を強調する見解も唱えられている(注解特別刑法補巻(2)253頁[土持敏裕・榊原一夫]等)。
今後は1~3号は重要事実に関する例示規定であり、それ以外の事実は4号で判断されるということになるかもしれないとの趣旨を述べる見解もある(西田典之編・金融業務と刑事法237頁[佐伯仁志])。
 また、前記マクロス事件の東京地判平4・9・25については、批判的な見解もある(堀口亘「マクロスのインサイダー取引事件」金判911号42頁等)が、これを評価する学説が多い(龍田節「インサイダ-取引の禁止・不公正取引の禁止(その二)」法教159号67頁、黒沼悦郎「架空売上の計上とインサイダー取引罪の重要事実」商事1420号31頁、芝原邦爾「インサィダー取引の処罰」法教166号92頁等)。
 本件日本商事事件も、捜査段階以来、学説の関心を集めてきたが、4号を適用することに批判的な見解がある(河本・前掲8頁や、原判決の評釈である黒沼「新薬の副作用情報と内部者取引の重要事実」ジュリ1139号200頁、神山敏雄・判評481号53頁(判時1661号215頁)等)一方、4号の適用に肯定的な見解もある。
後者の学説やうち、島袋鉄男「インサイダー取引規制における証取法166条2項4号の事実」ジュリ1113号107頁は、本件一審判決の評釈であるが、同判決は本件副作用情報のもたらす損害が2号イの軽微基準を超えるかどうか明らかでない段階でこれを規制の対象にするためには4号によるほかないという考え方に立っていると理解した上で、やむを得ない論理であるとしてこれを肯定するようである。
一方、やはり本件一審判決後に著された神崎「日本商事事件の法的検討」商事1447号7頁は、ユースビル錠の使用による副作用症例の発生は、1面では2号イに定める損害を発生させるものであるが、日本商事が長年にわたり多額の資金を投じて実質上初めて開発した同社の主力自社医薬品の今後の販売・出荷を阻害させるものであり、この側面は、前記損害の発生という概念で当然にカバーしきれないものを含んでおり、それが日本商事の「運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」に該当するときは4号の重要事実に当たると論じ、この立場から、一審判決の結論に賛成している。
 3 本判決は、このように、これまで適切な先例もなく、学説も錯綜している右の問題について、前記四のような判断を示した。
本判決は、あくまで事例判断の形をとっているが、ある事実が1号から3号までのいずれかの事実に相当する面を有していても、それによって包摂・評価され得ない別の重要な面を持ち、これが投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすときは、この事実について、1~3号とは別に4号の該当性を問題にすることができるという立揚を前提にしているということができ、極めて注目すべきものがある。
そして、ある事実が1~3号に包摂・評価され得ない面を持つ事実に当たるか否かは、各事例に即して具体的に判断されるべき事柄であり、結局は今後の事例の集積に待つという面が大きいと思われるが、この面でも、本件は、一つの重要な事例を提供するものといえよう。
 このような意味で、本判決は、重要事実の意義の解釈等に当たり重要な指針を示すものであり、理論的な面でも、また実務的にも、意義が大きいと考えられる(なお証券取引法166条2項については、平成10年法律第107号による改正で2号イが「災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害」と改められ、5号から8号までが追加されるなど、本件後にも改正が加えられているが、本判決の趣旨は、改正後の規定についても当然に当てはまるものと考えられる。)。 4 最後に補足すると、本判決は、以上の判断の前提として、本件副作用症例の発生が2号イ所定の損害の発生に当たる可能性があること自体はこれを肯定する判断をしている(前記四)。
検察官の論旨中には、2号イの該当可能性自体を否定する趣旨を主張する部分があったが、本判決はこの主張は採用しなかったものということができる(本件日本商事事件について論ずる学説の多くも、本件副作用症例の発生が少なくとも2号イに相当する面を持つ事実であることは肯定する趣旨を述べている。
 ただし、本判決が被害者に対する損害賠償義務の発生ないしその可能性(この点は判文中に明示されている。)のほか、どのようなものが2号イにいう損害に当たり得ると考えているのかは、必ずしも明らかでないが、ユースビル錠の今後の売上げに対する支障の問題等を2号イとは別に評価している判文の趣旨に照らすと、逸失利益のようなものはここにいう損害には当たらないと理解していることがうかがえるといえよう(この点については、証券取引法研究会「証券取引法の改正について(15))」インベストメント43巻5号46頁、中村直人「日本商事株事件とインサイダー取引対応の見直し」商事1372号8頁等参照。
これに対し、逸失利益もここにいう損害に当たるとするものとして、黒沼・前掲「新薬の副作用情報と内部者取引の重要事実」等)。
これは、逸失利益のようなものまで2号イ所定の損害に含まれるとすると、その内容が相当に不確定なものになることが考慮されたためではないかと考えられる。