- 松島 康生
- 災害リスク評価研究所 代表(災害リスクアドバイザー)
- 埼玉県
- 危機管理/BCP/防災計画コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
阪神・淡路大震災、東日本大震災をはじめ、伊豆大島町の土砂災害などの現場を見ていると、被害を大きくするのも小さく抑えるのも、災害現場の指揮官や参謀役となるリーダーの判断に左右されると言っても過言ではありません。
地方自治体でいう市町村に例えれば、市町村長や防災担当ということでしょう。
民間企業であれば、経営者層や参謀役である防災担当者が該当するでしょう。
以前、京都大学防災研究所・巨大災害研究センター長の林春男教授が「災害時にどんな人がリーダーとして担えるのか」という題材で、神戸市と兵庫県の職員らを招いて覆面座談会(本音で意見が出せるように非公式)を行いました。
その時に出された意見を林教授語録として取りまとめてみました。
■災害時の取り組み姿勢
・体力的、精神的に強じんである
・個人よりも組織やその目的を優先できる
・その場で自分が何ができるのかを考えられる
・全体像を把握した上で取り組むことができる
・自分の判断で迅速に事態に対応できる
■周囲から見たリーダー的資質
・声が大きい
・誰とでも対等に渡り合える(ビビらない)
・コミュニケーション能力が高い=意志疎通能力
・周囲の動きを読める
・他の人と調和がとれる
・色々な人を組み合わせて、うまく使いこなすことが出来る
また、上からの指示だけで動くような人(イエスマン)はダメで、自分の判断で動ける人が適任だそうです。そのためか、普段の仕事ではさほど優秀だと思われていない傾向もあるようです。
さて、どうやって、そんな人材を見出すのか?
災害時などの緊急の際に、積極的に「意見」や「質問」をしてくる人が有力で、その事象に取り組もうという意志があるからこそ発言するようです。逆にやりたくない人は質問さえしてこないようです。
林春男教授は、ISO 22320 危機管理※(社会セキュリティ:危機対応に関する要求事項)やICS※(インシデント・コマンド・システム)=現場指揮システムで、日本における先駆者でもあり、組織の災害対応に精通した先生です。
当然ながらこれらにはどんな人材が適しているのか。まで示されていませんので、災害時の指揮官や参謀役の選出として参考にしていただければ幸いです。
※ISO 22320 社会セキュリティ:危機管理
危機対応に関する標準化された国際規格で、平時の能力向上方法や情報処理方法、資源管理方法、組織的体制など、どのような種類の危機にも適応できる標準化仕様。
※ICS(Incident Command System):インシデント・コマンド・システム
米国の災害現場や事件現場などにおけるマネジメント・システムで、緊急時の命令系統や管理手法が標準化されたシステム。
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