ブログ201401、知的財産権 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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ブログ201401、知的財産権

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Blog201401、知的財産法

ブログ2014年1月

今月(2014年1月)は、独占禁止法、借地借家法、宅地建物取引業法、労働法、金融商品取引法、金融法、会社法、会社非訟、商標法、意匠法、不正競争防止法、信託法、破産法、土壌汚染対策法、行政法などに関するテーマを中心に、以下のコラムを作りamebro(アメーバ・ブログ)とAllAbout(専門家プロファイル)に掲載しました。


知的財産権法で読んだ本
[知的財産法全般]
•紋谷暢男『知的財産権法概論』有斐閣(2012年4月・3版)
私は大学生のときに読んだ。

•大渕哲也・茶園茂樹・上野達弘・横山久芳「知的財産法の重要論点」(法学教室連載・319号~)
特許法と著作権法の重要論点を解説。著作権法編のみ読んだ。
私は弁護士になってから読んだ。

・『最高裁判例解説』(法曹会)
民集・刑集登載判例に関する最高裁調査官による解説である。特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法に関する解説は全て読んだ。

田村善之教授の以下の書籍。
『知的財産法 第5版』(2010/5/24)
『論点解析 知的財産法』 (2011/3)
『機能的知的財産法の理論 (知的財産研究叢書)』 知的財産研究所 (1996/11)
『競争法の思考形式 (北海道大学法学部叢書)』 (1999/4)
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
いずれも非常に論理的・機能的に考えるテキスト。当時の多数説や裁判例に対して批判的にチャレンジした意欲作で、知的好奇心を刺激する。ただし、少数説が多い。

・中山信弘『知的財産権研究(1)~( 5)』 (2008/6まで)
学者・実務家による裁判例評釈。拾い読みした。
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
・渋谷達紀『知的財産法講義Ⅰ(特許法・実用新案法・種苗法)、Ⅱ(著作権法・意匠法)、Ⅲ(不正競争防止法・独占禁止法上の私人による差止請求制度・商標法・半導体集積回路配置法)』(有斐閣、3分冊、2006年―2008年)
私は弁護士になってから読んだ。
工業所有権(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)、著作権法、不正競争防止法、種苗法、半導体回路配置法と知的財産権法全部をカバーする著書は、約10年以上前には、入門書的なものを除けば、紋谷暢男教授の有斐閣双書、渋谷教授の本と田村善之教授の本しか存在しなかった。

・土肥一史『知的財産法』(中央経済社)
・盛岡一夫『知的財産法概説』
・角田政芳・辰巳直彦『知的財産法』(2010年)有斐閣アルマ
私は弁護士になってから読んだ。
上記3冊は、淡々と記述されている。あまり印象に残らなかった。

〔特許法〕
•中山信弘『特許法』弘文堂(2012年9月・2版)定番基本書。法律学講座双書シリーズ『工業所有権法(上)』を改題。
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。特許法の指定テキストであった。
非常に分りやすい。

・中山信弘・大渕哲也・小泉直樹・田村善之編『特許判例百選』有斐閣(2012年4月・4版)

・増井和夫・田村善之『特許判例ガイド 第4版 』(2012/3/24)
私は弁護士になってから、拾い読みした。

〔著作権法〕
・中山信弘『著作権法』有斐閣(2007年10月)
著作権法改正にも関わった知的財産権法の大家の著書である。元東京大学教授で、知的財産権法の東大学派の最長老であり、東大系の多数の後進の学者を育てた。
応用美術に関する記述は、立法経緯などや知的財産権法全体から目配りしたもので、参考になる。流麗な文章で、理由付けも詳しい。脚注で、反対説に対する簡潔だが、辛辣な批判もされている。なお、田村善之教授は中山教授の弟子なので、田村教授の文献に対するリファレンスがされていても、学説の内容に関する言及が少ないのは、配慮であろうか。
キャラクターに関する記述は、渋谷説より中山説のほうが判例に近く、結論も妥当である。
私は弁護士になってから読んだ。
・中山信弘『マルチメディアと著作権 (岩波新書)』 (1996/1/22)
・中山信弘『新版 ソフトウェアの法的保護』 (1988/7) この本は中山信弘『著作権法』にエッセンスともいえる記述が採録されている。
上記は、私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。

・田村善之『著作権法概説』 (2001/11)
非常に論理的・機能的に考えるテキスト。ただし、少数説が多い。
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。

・渋谷達紀『著作権法』中央経済社(2013年2月)
私は弁護士になってから読んだ。
同『知的財産法講義Ⅱ(著作権法、意匠法)』(有斐閣)より、論述が詳しく、頁数も多い。
複製物とされるものが著作物ではない場合には、複製権などの著作権侵害にならないとするのが渋谷説だが、判例通説と異なる。確かに、二次的著作物には適法要件が必要である。しかし、二次的著作物にもならないものだと、かえって著作権侵害を免れるのでは、不均衡である。ただし、同一性保持権(著作者人格権)侵害にはなる(この点は判例通説と同じ。)とするのが渋谷説。
応用美術に関する記述は、裁判例の論理構成を3つに分析しており、参考になる。ただし、自動車のデザインを著作権で保護しようとする学説はないようである。ミニチュアカーに関する「ちょろQ事件」に関する論述であろうか。
キャラクターに関する記述は、理由付けや法律構成が余り詳しくなく、やや不満足であった。中山説のほうが判例に近く、結論も妥当である。
通説と異なる独自の点
・美術の著作物(絵画、彫刻)について、固定を要件と解している。この解釈の不都合な点は、彫刻を設計図にしたがって固定した場合や増製した場合、固定前に、彫刻の著作物が存在しないことになるが、それでは結論が妥当ではない。また、固定後に美術の著作物の原作品が毀損・滅失した場合にも美術の著作物は存在しているとのバランスをどうとるのか、疑問がある。
・建築の著作物について、建築物の完成・固定を要件と解している。この見解では、設計図にしたがって建築の著作物を建築する前は、建築の著作物は存在しないこととなるが、結論が妥当であろうか。著作権法2条1項15号ロがある建築の著作物については、条文上の根拠があり、この規定をみなし規定と解するから、説明可能であろうが、そのような条文の存在しない他の著作物について、どのように説明するのであろうか。
・写真の著作物について、固定を要件と解している。この見解は、現像前の写真、デジタルカメラで撮影し、現像する前にも、固定されていないと解している。そうすると、現像前の未発行の写真については、保護が与えられないこととなるが、結論が妥当であろうか。
なお、旧法では、写真の著作物について、固定を要件としていたが、現行法である。もっとも、同じ解釈を取るべきといえるかは疑問である。
・ゲームソフトを映画の著作物ではないと解している。

・斉藤博『著作権法』有斐閣(2007年4月・3版)
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
簡潔なテキスト。斉藤教授の講義は大学院で拝聴した。

・松村信夫・三山峻司『著作権法要説 実務と理論』世界思想社(2013年2月・第2版)著者は二人とも弁護士・弁理士・法科大学院教員の三足のわらじを履く実務家。ケーススタディを適宜用いており、重要な判例については詳細に検討されている。参照判例が充実。

•半田正夫『著作権法概説』法学書院(2013年2月・15版)
通説判例は著作権を財産権であり、著作者人格権と区別している。しかし、半田説は、著作者人格権を著作権に含ませている(ドイツ著作権法の影響を受けたもの)。この点に、半田説の最大の特徴がある。

•三山裕三『著作権法詳説―判例で読む15章』レクシスネクシス・ジャパン(2013年1月・9版)

•岡村久道『著作権法』民事法研究会(2013年4月・新訂版)
弁護士による著作。図解つきでわかりやすい。初版は商事法務にて出版。同弁護士による『著作権の法廷』(絶版)は、今となっては古いが、当時は類書が少なく、実務家向けの読み物風の本で、参考になった。
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。

•加戸守行『著作権法逐条講義』著作権情報センター(2013年8月改訂予定)
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
元文科官僚の公式コンメンタール。分厚くて高い。テキストを読んでいてわからない部分を調べるのに辞書として利用。

•中山信弘・大渕哲也・小泉直樹・田村善之編『著作権判例百選』有斐閣(2009年12月・4版)
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
その後、版が改訂されてからも、読んだ。

[商標法、不正競争防止法]
・田村善之『商標法概説』 (2000/7)、『不正競争法概説』 (2003/9)
私は弁護士になってから、筑波大学院のときに、読んだ。
非常に論理的・機能的に考えるテキスト。田村教授は不正競争防止法の改正にも関与している。ただし、少数説も多い。

・末吉亙『知的財産法実務2・商標法(第3版)』(中央経済社)
弁護士が企業の担当者・実務向けに執筆した本。
商標法の初心者が勉強するのには良いと思われる。
条文、特許庁の審査基準の引用、裁判例の紹介である。
ただし、囲みで判決文を延々と引用しているのは、もっと要領よく要約できるはずで、不要と思われる。
学説にはほとんど触れていない。
また、裁判例で定説が固まっていない分野について、裁判例の紹介はあるが、特に考察はされていない。同種の事案で、結論が肯定・否定にわかれている下級審裁判例についても、淡々と紹介するだけで、解説もない。
何か特別なテクニックが書いてあるかと思って読んでみたが、そのようなことはなかった。
私は弁護士になってから読んだ。

・小谷武『新・商標教室』
弁理士による読み物風のテキスト。
私は弁護士になってから読んだ。

大渕哲也・田村善之・中山信弘・茶園成樹『商標・意匠・不正競争判例百選』別冊ジュリスト No.188- (2007/11/14)
私は弁護士になってから読んだ。

奥田百子『なるほど図解 商標法のしくみ(第2版)』(中央経済社、2012年)
著者は弁理士である。商標法の入門書である。
商標法のしくみを全て図解しているわけではなく、平易な文章に、おおむねイラストが付いている形式の本である。
ただし、結構、初歩的な間違いが見受けられる。
例えば、著作権について、アイディアを保護すると書いてあるが、アイディアそのものを保護するのではなく、創作的な表現が保護対象である。
また、比較的古い裁判例も紹介しているのは良いとは思うが、現行の商標法に即した方がよいと思われる。現行の商標法には妥当しない旧・商標法に関する裁判例を長々と紹介するのは、いかがなものかと思われる。
・例えば、商標権として、商品の商標しか認められず、役務の商標が認められていなかった時代の裁判例
・商標の「使用」に「輸出」が含まれていなかった時代の裁判例
ちなみに、不正競争防止法の周知商品等表示(商品形態)の例として挙げられている、バター飴缶事件は、『商標・意匠・不正競争判例百選』68事件とは、別の事件である。
私は弁護士になってから読んだ。