査定系審判(Ex Parte Appeals)に関する規則改正 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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査定系審判(Ex Parte Appeals)に関する規則改正

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米国特許判例紹介:査定系審判(Ex Parte Appeals)に関する規則改正について 
河野特許事務所 2008年6月26日 執筆者:弁理士 河野英仁

1.概要
 米国特許商標庁(USPTO)は、2008年6月10日査定系審判に関する改正規則(37 CFR Part 41))を公表した。2007年度における審判件数は4639件、また2008年度は約6000件と予想されており、審理の遅延が指摘されている。審判部(Board of Patent Appeals and Interferences)における審理の効率化を図るべく、規則の改正が行われた。

 審判請求書(Appeal Brief)の記載要件、及び、審査官と請求人との間の手続き簡素化等が改正の骨子である。改正規則は6月後の2008年12月10日施行である。なお、当事者系再審査(Inter Partes Reexamination)に関する規則は何ら変更されていない。

2.審判請求書記載要件の変更
(1)発明の簡潔な説明の記載(Summary of the invention)は不要
 従来審判請求書には発明の簡潔な説明を記載する必要があったが今回の改正により不要となった。当該記載要件に代えて、以下の(2)(3)の記載が必要となった。

(2)Claim support and drawing analysisの記載(規則41.37(e)(11)(r))
 審判請求書の付属書に「Claim support and drawing analysis」の項目が必要となった。この項目内には注釈つきのクレームを記載することが要求される。具体的には、クレームの各構成要件末尾に{}を付し、その中に太字にて、対応する明細書の該当ページ及び行、またはパラグラフ、並びに、図を記載しなければならない。

(3)Means or step plus functionの記載(規則41.37(e)(11)(s))
 クレームが米国特許法第112条パラグラフ6に規定するMeans plus function(MPF)クレームである場合に、審判請求書の付属書に「Means or step plus function」の項目が必要となった。この項目内には注釈つきのクレームを記載することが要求される。具体的には、MPFクレームの構成要件末尾に{}を付し、その中に太字にて、当該機能に係る構造を示す明細書の該当ページ・行、及び、図・番号を記載しなければならない。

(4)審判請求書のページ数制限(規則41.37(v)(5))
 審判請求書は最大30ページまでと規定された。ただし、関連判例(related cases)及び付属書等のページ数はこれにカウントされない。

(5)その他
 「Statement of fact」及び「Argument」の記載事項の内容が改正された。(規則41.37(e)(11)(n),(o))

3.審査官の答弁書(Examiner’s answer)及び請求人の弁駁書(Reply brief)
(1)審査官の答弁書における新たな拒絶理由追加の禁止(規則41.39(b))
 審判請求書が提出された場合、審査官はこれに対応して答弁書を提出する。従来はこの答弁書内において新たな拒絶理由を通知することがあった。しかしながら規則改正により、審査官はこの答弁書内において、もはや新たな拒絶理由を通知することができなくなった。

(2)弁駁書のページ制限(規則41.41(d))
 請求人は審査官の答弁書に対し弁駁書を提出することができるが(規則41.41(a))、そのページ数の上限は20ページまでと制限された。また、この弁駁書の提出機会も一回に限られる点に注意すべきである(規則41.41(a))。

(3)審査官による弁駁書に対する反論の禁止(規則41.43 reversed)
 従来、請求人が提出した弁駁書に対し、審査官がさらに反論を行う機会が認められていた。しかしながら規則改正により、審査官の弁駁書に対する反論は認められなくなった。

(4)補足弁駁書(Supplemental reply brief)の提出禁止(規則41.44 reversed)
 従来は、審査官の反論に対し、さらに請求人は補足弁駁書を提出することができた。しかしながら、(3)にて述べた如く、弁駁書に対する反論機会が審査官から奪われたことに伴い、これに対応する補足弁駁書の提出も認められなくなった。

4.コメント
 以上のとおり審判請求書の記載要件及びUSPTOに対する手続処理に多くの改正点が存在することから注意を要する。審判請求書のページ数制限及び記載項目の変更、並びに、審査官と請求人との間における処理の簡素化により、争点が明確化され、審理がより迅速化するものと思われる。
                                          以 上

改正規則はUSPTOのHPからダウンロードすることができます[PDFファイル]
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