行政手続法第2章 行政庁に対する申請に対する処分 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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行政手続法第2章 行政庁に対する申請に対する処分

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   行政手続法第2章 行政庁に対する申請に対する処分

 申請とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう(行政手続法2条3号)。

 審査基準とは、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(行政手続法2条8号ロ)。

審査基準は、行政の恣意抑制、公平公正の観点から必要である(最高裁昭和46・10・28個人タクシー免許事件参照)。

(審査基準)

第5条  行政庁は、審査基準を定めるものとする。

  行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

  行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。

(標準処理期間)

第6条  行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

(申請に対する審査、応答)

第7条  行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(理由の提示)

第8条  行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

  前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

行政処分に理由付記が必要とされているのは、処分理由の合理性の担保、行政庁の恣意抑制、申請者などの不服申立の便宜の3つの観点からである(最高裁昭和47・12・5大分税務署長法人税増額更正事件参照。行政法・租税法の通説)。なお、『重要判例とともに読み解く 個別行政法』31頁が理由付記の制度趣旨を2つと説明しているのは、明らかに相当ではない。

処分理由の差し替え

最高裁平成11・11・19、逗子市池子弾薬庫情報公開条例事件

 一 いわゆる池子弾薬庫跡地内に所在する逗子市所有地の管理又は国への移転登記に関し必要な措置を講ずべきこと等を求める住民監査請求につき逗子市監査委員が横浜防衛施設局職員から事情聴取をした内容を記録した文書は、全国の未登記土地に関する国と所有名義人との間における民事上の紛争の処理の仕方、手法についての供述や、国の民事訴訟解決の手の内が示されているのであれば、逗子市情報公開条例において公文書の非公開事由を定めた五条(2)ウにいう「争訟の方針に関する情報」に当たらないとはいえない。
 二 公文書の非公開事由を定めた逗子市情報公開条例(平成二年逗子市条例第六号)五条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が、右決定が適法であることの根拠として、当該公文書が同条(2)アに該当すると主張することは、許される。
 三 いわゆる池子弾薬庫跡地内に所在する逗子市所有地の管理又は国への移転登記に関し必要な措置を講ずべきこと等を求める住民監査請求につき逗子市監査委員が右登記事務に関係した同市職員、横浜防衛施設局職員等の関係行政機関の職員から事情聴取をした内容を記載した文書は、同監査委員限りで参考にすることにとどめ公開しないことを前提として提供された機密にわたる情報が含まれているのであれば、逗子市情報公開条例において公文書の非公開事由を定めた五条(2)アにより非公開とすることができる文書に当たらないとはいえない。

(情報の提供)

第9条  行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。

  行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。

(公聴会の開催等)

第10条  行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

(複数の行政庁が関与する処分)

第11条  行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。

  一の申請・同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合においては、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるものとする。

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