飯田  裕(歯科医師/医学博士)- コラム「<歯科医師・ICDが監修>歯科衛生士・歯科助手を守るための感染予防対策を!」 - 専門家プロファイル

飯田  裕
患者さんの性格や体質に合った「オーダーメイド治療」を提供

飯田  裕

イイダ ユタカ
( 茨城県 / 歯科医師/医学博士 )
つくばオーラルケアクリニック 開設管理者/院長
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<歯科医師・ICDが監修>歯科衛生士・歯科助手を守るための感染予防対策を!

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2014-07-07 07:00

 1.診療器具・器材を滅菌するのは当たり前。そこで働くスタッフの安全性は・・・ 

 

 歯科診療所の感染防御対策については、主に患者さんの安全性を守るための器具の滅菌など、すなわち肝炎ウィルスやHIVに対する感染防御がしばしば話題になります。

 

 また、院内の清潔環境を患者さんへアピールする意味で、診療室内の消毒体制の充実、医療用空気清浄機や水道水の浄水設備の設置などが注目を集めることもあります。

 

 

歯の治療で肝炎ウイルスに感染?歯科の感染対策について http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-124913/

 

 しかし、歯科医療従事者を感染から守るための対策や手段として語られるのは、シールド付きマスクやゴーグル、グローブの着用ぐらいではないでしょうか?

 

 

2.歯科助手や衛生士などの医療従事者への感染予防対策

  

 歯科医院には毎日大勢の患者さんが出入りします。

 

 患者さんの中には、熱があったり、咳をしたりして体調の悪い方もおられます。ご自分の病状を把握しておられない方や、問診票の記入をお願いしても、健康状態を詳しく記載していただけない方もおられます。さらに子供が沢山来院するクリニックであれば麻疹(はしか)や風疹、水痘(水ぼうそう)の患児が来院するケースもあるかもしれません。

 

 一方でそこで働く歯科助手や歯科衛生士などのスタッフは若い女性が多く、もしかしたら妊娠初期である可能性もあります。麻疹、風疹、水痘などでは妊婦さんが感染すると胎児に異常を生じる可能性があります。

 

 インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふく)など直接接触しなくても近い距離にいることで感染する疾患には、ワクチン接種など可能な限りの事前対策が必要でしょう。

 

 逆に風疹や流行性耳下腺炎の患者さんと接した場合、その時点で予防する方法はありません。おたふく(流行性耳下腺炎)の感染力はインフルエンザの200倍とも言われていますから要注意だと思います。

 

 したがって私のクリニックでは毎年のインフルエンザシーズンに、インフルエンザワクチンの予防接種をみんなで受けに行き、診療中はN95マスクの着用を奨励し、院内だけでなく通勤中に使用する分も配布しています(使ってくれているかは分かりませんが…)。

 

 

 また、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎については当院で採血して抗体の有無を測定(抗体価測定)しています。

 

 歯科医院の完全予約制・・・賛成?それとも反対? http://profile.ne.jp/w/c-62674/

 

 

3.歯科助手さんやクリーンスタッフにB型肝炎の予防接種を 

 

 私たち歯科医師や歯科衛生士ならば、通常は学生時代の病院実習が始まる前にB型肝炎の予防接種を受けています。B型肝炎ウイルスは感染力が非常に強く、感染すると一部の感染者では劇症性肝炎を起こし、肝臓が破壊され死に至る場合もあるからです。

 

 近頃、「エボラ出血熱」の脅威がニュースなどで盛んに報道されていますね。ワクチンなどの有効な予防手段がないこと、致死率が高いこと、封じ込めが上手くいかずに感染者が1万人を超えたこと・・・などなど、新たな脅威に世界が震撼しています。

 

 エボラはもちろん恐いんですが、全世界でB型肝炎に20億人が感染しており、毎年60万人がB型肝炎によって死亡している現状を考えれば、安全で効果的なワクチンによって予防できる病気ですから、予防接種を受けておくことの重要性がお分かりになるのではと思います。

 

※まれに予防接種をしても抗体が作られずに免疫を獲得できない方もおられます。

 

 とても気になることですが、私が知る限り歯科助手さんでB型肝炎の予防接種を受けている人はまずいません。

 

 普段からグローブを着用していても、治療に使用した器具の洗浄や後片づけの際に、感染性廃棄物などに触れる機会や、針刺し事故などを起こす可能性もありえます。

 近頃は小児科でも幼児を対象にB型肝炎の予防接種を勧められます。集団生活を始める前に(幼稚園や保育園に入園前に)感染しないようにとの配慮からです。医療に従事するなら最低限必要な予防策でしょう。私から「B型肝炎はどういう病気なのか」よく説明した上で、納得して予防接種を受けに行ってもらいます。インフルエンザのように1回ではなく、少なくとも3回は通院しなければならないため、少し面倒ではありますけども…。

 

ご婦人に多い口の中の病気”口腔扁平苔癬”をご存知ですか? http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-59238/

 

 先生方の中には「なぜそこまでしなけりゃいけないんだ?」というご意見、医療機関の経営が厳しい中で、スタッフ全員の検査や予防接種費用まで負担するのは難しいという経営的な側面からの反対意見もあるかもしれません。

 しかしながら医療現場において優秀なスタッフは代えがたい宝であり、その重要な財産を守るのも医療機関の管理者の務めではないでしょうか?

 

<参考資料>

1.国立感染症研究所HP 「B型肝炎とは」 http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/321-hepatitis-b-intro.html

2.独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センターHP http://www.kanen.ncgm.go.jp/forpatient_hbv.html

3.一般社団法人日本環境感染学会 「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=106

 

<Dent. DHの方で、ご質問、ご追加がある方はお気軽にメールもしくはfacebookからご連絡下さい>
 

 

つくばオーラルケアクリニック(歯科・口腔外科) JR常磐線荒川沖駅より徒歩5分
公式HP http://www.tsukuba-occ.com/hp/
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