寺崎 芳紀
テラザキ ヨシノリ介護の記録や帳票のデータ保存可能に
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こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。
今年4月から、介護記録や帳票を紙だけではなく「データ」で保存することを原則認めることが決定しました。
これは大変喜ばしいことであるのですが、いくつか懸念事項があります。
まず、過去分の書類をどうするかについてです。
基本的に介護関連の記録帳票は、サービス終了後5年間保存することになっております。
この分をどうするか。
事業所によっては、膨大な量の書類があります。
保存の必要がある書類を、いちからすべてスキャン等するのは、気が遠くなるような作業です。
実際は作業することは極めて困難でしょう。余剰の人員がいればなんとかなるでしょうが、そのような事業所は少数でしょう。
現実的には、過去分のデータ化はあきらめざるを得ないのではないかと思います。
次に、データ化の方法についてです。
作成したエクセルデータやWordデータをただデータ保存するだけなら、それほど問題にはなりません。
PDF化は簡単にできますし、介護ソフトでもデータ化機能は必ずあるはずですので、それは問題ない。
しかし、例えばケアプランに関してご利用者様から同意をいただいた書類は、スキャナー等を活用して保存することが必要になり、これはひと手間かかってしまいます。
現実的には、事業所内で運用スタートの期日を決めた上で、実施することなると思います。
さらに、データ化した書類をどう管理するかも重要です。
法人内で、データ管理に関するルールを決める必要があります。
どのようにデータ化するのか、データ化したものをどこに保存するのか。
どのファイルに保存したらよいのか、データの名前の付け方をどうするのか、データ化をすべての職員に任せてもよいのかどうか、等々
これを明確にしておかずに、ただ単にデータ化しても使い勝手が悪ければどうにもなりません。
紙媒体の情報漏洩は過去にも事例があり、事故報告が各地でなされているわけですが、データ化したものの管理はさらなる注意が必要になります。
私なんかが申し上げるまでもなく、ITに関しては便利な反面、様々な脅威にさらされるリスクがあります。
ウイルス感染すれば、情報はすべて消えてしまうかもしれませんし、情報漏洩のリスクも増します。
事業所内でのサーバ管理は危険です。クラウド化が不可欠でしょう。
クラウドが完璧に漏洩リスク等をヘッジできるとは断言できない(そもそも物事の全てにおいて「完璧」はない)のですが、リスクを可能な限りヘッジするためにも、クラウド化の導入とセキュリティの強化は必須です。
スタッフのITリテラシーの問題もあります。
私自身も、ITに長けているわけではありません。それなりにわかってはいるつもりでも、自信を持って活用できていると胸を張れるかといえば、そうではありません。
こんなことを申し上げては失礼かもしれませんが、介護現場で働く方はITリテラシーがあまり高くない傾向があります。
スタッフの中には高齢な方もいて、メールすら使えないという方もまだまだ存在します。
ITに関するリテラシーが低いスタッフが多い中で、どうやってデータ管理を図っていくか・・・
先に掲げた問題点はどれも重要ですが、実はこの「スタッフへの周知徹底」が一番深刻な問題かもしれません。
確かに、紙媒体での保存は場所もとりますし、不都合が多いため、データ保存が加納になったことは非常に喜ばしいことだと思います。
事業所の中には、保存の必要がある書類を保管するのに、倉庫を借りているケースもあるかもしれません。書類の完全データ保存化に成功すれば、倉庫を借りるための固定費も削減できるでしょう。
メリットはたくさんあります。
しかし、データ化の運用をしっかりルール化しないと、結局面倒だからと紙媒体での管理を継続せざるを得ないという事態に陥りかねません。
私もこの機会に、データ保存化をどうす滑るべきかについて、いろいろ研究してみたいと思います。