寺崎 芳紀(経営コンサルタント)- コラム「介護事業所におけるマネジメント④」 - 専門家プロファイル

寺崎 芳紀
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寺崎 芳紀

テラザキ ヨシノリ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
株式会社アースソリューション 代表取締役
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介護事業所におけるマネジメント④

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2021-01-20 08:00

こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。


前回のコラムがかなり長くなってしまったので、今回は介護事業所に求められうる管理者像について続きをまとめたいと思います。


①については、現場感が非常に重要であるという点についてお伝えしました。

今回は「②管理者にはバランスが重要」についてお伝えいたします。


介護事業所の管理者は、現場感がないと務まりません。これは間違いない事実です。

それは、現場スタッフを理解し、寄り添う姿勢です。


しかし、現場寄りになりすぎてしまうと、それはそれで問題になります。

何故なら、過去記事にも書いた通り、管理者には管理者としての責務があるからです。


それは、介護保険諸法令を遵守し健全に運営することに留まりません。

事業所にも、当然ながら数字が伴います。収益が上がらなければ存続することはできません。

業績が上がらなければ、昇給もできませんし賞与も支給できません。自分たちがやりたいことも、収益性が担保されていなければできないのです。


こんなことを言ってしまうと偏見と捉えられてしまうかもしれませんが、介護職員の方には「コスト意識」や「収益への意識」が希薄である傾向があります。

収益意識が強すぎて、ご利用者様へのサービス提供に支障があってはいけません。

しかし、その意識が希薄になっては、もっといけません。


例えば現場において物品を購入してほしいという話が出たとしましょう。

物品購入を上司に申請するにあたり、なぜそれが必要なのか、経費を最小限に抑える方策を考えたか等について吟味する方が、どれ位いるでしょうか。


これは私も実際に体験し、また多くの管理者様が感じていることと思いますが、ロクに吟味せずに購入しようと安易に考える方は、今でも多いのが実情です。

在庫確認が不十分なのに「在庫がないから購入したい」と言って購入し、あとから山のような在庫が出てきたという話、私が管理者だった時にもありました。

このようなムダには「百害あって一利なし」だと思いますので、スタッフには厳しく指摘をしてきました。


これはほんの一例ではありますが、こういう意識が希薄であると、収益はどんどん悪化してしまいます。


また、これは施設あるあるなのですが、空いている居室をいかに埋め、満床にすることが必要なのは当然です。

しかし、現場は忙しいことを嫌う傾向にあります。ですので、新規で入居者を入れようとすると反対されることがあるのです。

少しでも手のかかるような方は、理由をつけて入居させないようにする動きさえあります。


すべての事業所でそうであるとは言えませんが、少なくとも私が過去に関わった事業所では少なからず存在しました。


もちろん、手のかかるような入居者様をお受入れするには、相応の体制を整えないといけません。

と言っても、人員体制の問題もあって完璧にはなかなかできないのも事実です。


ですので、私はできる限りの体制を整えるという前提で、上記のような反対意見には基本的に耳を貸しませんでした。いちいち聞いていたらキリがないし、いつまでたっても満床にはなりませんから。


ここで問題となるのが、管理者としての「バランス感覚」なのです。


介護事業所の管理者は、現場から登用されるケースも多いです。

管理者候補(あるいは初めから管理者募集)として採用され、配置するケースももちろんありますが、介護の現場を経験して登用される意味ではほぼ同じかと思います。


こちらについても、すべてがそうであるとは断定できません。

しかし、現場出身の方が管理者になると、どうしても現場寄りになりがちです。

現場の気持ちがわかるだけに、どうしても現場の意向に流される傾向にあります。



ある程度大手になってくると、本部と現場という関係性が生じ、本部からはどうしても収益維持向上を求められます。現場上がりの管理者は、現場と本部との狭間に耐えられずに潰されてしまうケースが、やはり多いのです。


ですので、現場感とマネジャーとしての「バランス感覚」が重要となるのですが、なかなか発掘できないし、育てるのも大変なのです。


現場が一番大事ですから、それを蔑ろにはできない。忙しいから、管理者も現場に入らざるを得ない。

口で言うのは簡単ですが、実際は簡単ではありません。



次回は、現場感とマネジメントのバランスをどう保っていくかについて、お伝えしたいと思います。

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